街で偶然、大学時代の同級生に会った。

初めは互いに気づかなかったけど、通り過ぎてから一緒のタイミングで振り向く。

[ジェジュン?何か変わったな]

そう、昔の俺はチャラかった。茶髪に流行りの服、ビアスに指輪にブレスレット、遊んでますけど何か?って感じで調子に乗っていたから。2年間の引きこもり生活で黒髪が定着したし、ピアスなんて付ける気持ちもなくなった。

[仕事、近く?]

バイトも一応仕事だよね?

[うん]

[突然大学に来なくなったから、心配してたんだぞ]

いかにもリーマンって格好の同級生は、前途洋々って感じかな。それに引き換え俺は未だにバイトの冴えない人生、しかもやっと始めた社会生活。その違いを目の当たりにすると、やっぱり゙自己嫌悪に陥る。

[今度飲もうな、連絡先変わってないだろう?]

携帯はずっと眠ったままだった。最近ようやくまた持つようになった。その頃のLINEは既読がつかないまま溜まっている。 

[うん、変わってない]

[じゃあ、そのうち連絡するから]

[うん]

同級生と別れた後思う。きっとこの後、あいつは他の同級生に連絡するだろう。 

【ジェジュンが別人みたいだった】って。でも、それは嘘じゃない、あの頃の俺はもういない。彼女とともに消えてしまったから。もう戻らない時間に懐かしささえないなんて・・ふっと漏れた失笑は後悔なのか?抜け出せたくて抜け出せない、そんな暗闇をまだ歩いている。


[ジェジュン、おはよう]

唯一の光がユノだと思う。あの日、彼女に伝えた想いを共有してくれた人。顔を見るだけでホッとする。特に昔を思い出した今日みたいな日には。

[おはよう]  

呟くように言うと、ユノがすぐに近寄ってくる。

[また悪い夢を見たのか?]

悪夢は時々見る。前に話した時、ユノも同じだと言っていた。

[ううん、そうじゃない]

しばらく考えていたけど【そうか】って言って、ユノが制服を羽織る。

[今度、俺の部屋に来るか?]

突然の言葉に理解不能になる。ポカンとした顔で見返すと、前を向いたまま続ける。

[ひとりの夜は案外辛い時がある]

ユノと俺は傷みを知っている。そして夜が一番怖いことも。

[ユノの部屋は広い?]

え?って顔をする。 

[俺の家、母さんが入院してるから無駄に広い。ユノが家に来るのがいいと思う] 

目をパチパチさせてから、すぐに理解してくれる。 

[ああ、確かにそうだな。ワンルームの俺の部屋よりジェジュンの家の方がいい]

それ以上の約束はしなかった。でも、それはそんなに遠くない未来だと思えた。ユノとの間に言葉はいらない、それを今はすごく感じている。他人には説明しないと誤解が膨れ上がっていくけど、ユノならそれがない、そう感じる。


誰かとこうして、向かい合って食事をするのは久々だ。ユノとラーメン屋とかバイトの帰りに行くことはあるけど、家で落ち着いてっていうのは初めてだから戸惑う。

鍋は簡単だからって言い訳しながら、俺の手料理で食事をする。ユノはいちごを買ってきた、自分の好物たからって。食事の後に洗って出そうと思う。酒は少しだけ飲んだ。引きこもってから飲まなくなったから強くないと思う。てか、ユノの方が弱そうだ。ピール一杯で顔が赤くなっている。

沢山の話をした。誰にも話せなかった思いを吐き出すように。そしてユノもまた、そうしたかったらしい。俺達は同類なのかもしれない。傷が深すぎて笑えなくなったピエロみたいに、ちゃんと立っていられなくなった。


[ジェジュンといると、強くなれる気がする]

ユノの言葉は俺の想いでもある。

[ありがとう]

噛みしめるようなユノのひと言が、ジワジワと俺の心を温める。


並んで眠ったその夜、俺達は初めてキスをした。 男同士なのに違和感なんて全然なくて、むしろこれだけが俺に必要なキスだと思えた。

[好きだよ]

子供みたいに告白も、逆にリアリティがある。

[ジェジュンが好きだ]


うんと俺は頷く。

ユノも知っていたらいいな。

俺とユノは、いつも同じ心でいることを・・✨





おはようございます✨

体調大丈夫ですか?お正月の後は崩しがちなので、気をつけてくださいね。私も今ひとつですが、頑張ります!


今日も元気に、いってらっしゃい(=^・^=)*⁠⁠/⁠*☆✨♥