元治元年皐月九  


起きて、いつもの様に稽古。

 

朝食、たくあん、豆腐、納豆汁、ご飯。

 

本日の隊務割。
午前が南巡察、午後が東巡察、夜が西巡察。

 

七番隊と南巡察に出ようとしたら、
山南総長が僕も行くと出てきた。
谷組長が、総長に、
「副長助勤と組長ではどちらが上なのですかね?」と聞くと、
「組長だろう、土方さんは言わないけれど、
組長の顔を見れば、昔からの同志を当てているからな。」
「組長の人数より、最近は副長助勤の人数の方が多くなっていますが?」
「平隊士が少ないから、仕方がない。伍長も多くなっている。」
「早く、平隊士を増やした方が良いですね。」などと、
話しているのを聞いていたら、
八条通りの突き当り、高瀬川沿いの材木商に、
浪士らしき人物が入って行くのを見かける。
谷組長が合図をして、七番隊が路地の方に走っていく。
井上組長が少し待って、御用改めと言い材木商に入る。
竹内伍長と、死番の西岡も追いかけるように、刀を抜いて入り、
僕らも、続いて入る。
粂部伍長が外に隊士を配置しているのが聞こえる。
井上組長が、
「今、入った御仁は何処にいる!」と怒鳴ると、
番頭がしどろもどろになっている。
「どけ!」と、井上組長が奥に駆け込む。
内部を探すがいない、裏に抜けると、
谷組長が裏で浪士を捕縛していた。
井上組長が、監察方に、
「この材木商に浪士が集まるかもしれないので調査してくれ。」
と言い、番小屋に連絡して、浪士を連れ、屯所に戻る。

 

昼食、アサリの佃煮、漬物、昆布煮、味噌汁、ご飯。

 

七番隊と東巡察。
ここ最近で、浪士を見かけた、
旅籠、船宿、材木問屋などを中心に巡察したが、浪士はいない。
屯所に戻る。

 

夕食、塩鰹の雑炊、たくあん、茄子田楽。

 

四番隊と西巡察に出ようとしたら、土方副長が呼び止めた。
「勘定方によって、ハチガネを持っていけ。」と言われ、
受け取ったハチガネには、誠の文字が刻まれていた。
思ったより重たい、全部装備すると、大変だなと思うが、
怪我をするよりはマシなので文句を言わずに装着する。
新選組の名入り提灯も渡され、巡察に出る。

西大路通りを今川通りに曲がったところで、前方に浪士らしき集団を発見。
松原組長が合図をして、四番隊が路地に走っていく。
井上組長が、ゆっくり近づき、誰何すると、
薩摩藩士の集団と分かり、礼をして、松原組長の方に歩いて行く。
薩摩藩士で浪士ではないと伝えている。
今川通りを進むと、左側にある寅谷と言う旅籠に浪士らしき数人が入って行く、
今度は、井上組長が合図をしたので、六番隊が裏手へ走って回る。
しばらくして、井上組長が旅籠に入ると、
松原組長が、浪士三人を捕縛しており、番小屋に連絡して、屯所に戻る。

 

慣れないハチガネが重くて疲れたので、すぐ寝る。