元治元年皐月五   


昨夜は、ちーとばかり飲みすぎた。


目が覚めたら、望月も北添も起きて、
各藩の脱藩浪士にあいにいちょる。
お龍さんが、水と粥を持ってくるが、
あまり食いたくない。

 

今晩、各藩の脱藩浪士が集まり、意見を交換する。
亜米利加国の話だけじゃなく、蝦夷の開拓の話もするために、
勝先生に会いに行き、いい方法を教わろうと思う。

お龍に、夕七つには戻ると言い、
勝先生に会いに行く。

勝先生が言うには、
幕府にも蝦夷を開拓することに賛成する要人もいるが、
費用が問題だと言う事。
それじゃ、簡単じゃ、あしらが蝦夷の特産品を江戸に送り、
江戸や京都で売り、その稼いだお金で、開拓をする。
最初のうちは、どこかの藩に出してもらうしかないが、
きっと、上手くいく。
そう確信して、岩扇に戻り、お龍と島原に向かう。

 

島原に向かう道すがら、だんだら羽織の新選組を見つけ声を掛ける。
「あしゃ、坂本ちゅう、山南君の知り合いぜよ。
これから、島原にいくちゃ、一緒にどうかと思ってのう。」
新選組の若い組長らしき人物が、
「山南さんは屯所です。
我々は隊務中ですので行けません。」
ほうか、それは残念じゃと思うが、仕方がない。
島原に向かい別れる。

 

島原の松栄には、
肥後藩の宮部鼎蔵、宮部春蔵、松田重助、高木元右衛門、
長州藩の吉田稔麿、杉山松助、大沢逸平、国重正文、
久留米藩の淵上郁太郎、林田藩の大高又次郎、
伊代松山藩の福岡祐次郎、尾張藩の錦織有無之助、
土佐藩からは、北添佶摩、石川潤次郎、越智正之、
望月亀弥太、藤崎八郎、伊藤弘長らが集まり、
尊王攘夷について喧々囂々の話し合いになるが、
蝦夷地開拓の話には興味を示さず、残念。


長州藩は、八月十八日の政変の恨みが強すぎじゃ、
薩摩藩、会津藩憎しで日の本が見えとらん。
残念じゃ。