皆さんこんにちは!

 

今回は、『アスリートに発症する疲労骨折 シリーズ⑤ 骨盤部 』 〜大腿骨頸部疲労骨折〜 についてお伝えします。

 
大腿骨は太ももの骨のことを言います。大腿骨頸部は下の図のように、太ももの骨の付け根の部分を指します。

『大腿骨頸部疲労骨折』はとても稀な疲労骨折でありますが、発見の遅れや、見逃されやすい疲労骨折です。

 

以前、当院では「大腿骨頸部疲労骨折」について学会発表しました。

 

発症年齢は13歳〜40歳代の幅広い年齢層で発生します。

その中でも特に20歳代のアスリートに発症します。

 

受傷しているアスリートを競技別で見ると、主に陸上競技の長距離選手特に女性やジャンプ動作の多いバスケットをしているアスリートで見られます。

初期症状は、軽微で運動時の股関節や臀部の痛みを感じます。病期が進行すると有痛性の跛行(痛くてうまく歩けない)を伴うことがあります。

 

「大腿骨頸部疲労骨折」には骨折線の入り方の違いで分類されており、特徴がそれぞれ違います。

下記がまとめたものになります。

「大腿骨頸部疲労骨折の3例 前原 光祐ら」より引用・改変

 

診断は画像診断が有用とされています。

レントゲン画像では、受傷後2〜4週間後に初めて骨折を疑う像が見られるため早期診断には有用ではないと言われています。

 

早期診断に一番有用なのはMRI検査になります。

「大腿骨頸部疲労骨折の3例 前原 光祐ら」より引用・改変

 

上図のように、早期ではレントゲン画像で骨折像が見られなかったが

MRI画像では左大腿骨頸部下方に低輝度領域と周囲骨髄の高輝度変化を認められます。

 

受傷原因を1つ紹介します。

 

股関節外転筋力の低下です。

股関節外転筋である中臀筋が疲労や間違った使い方で過負荷がかかった際に、大腿骨頸部の牽引力が増加します。

中臀筋は「ショックアブゾーバー」の役割があり、機能低下した際に衝撃が大腿骨頸部に加わります。

 

 

最後に予後と治療に関してです。

スポーツ中止と免荷が必要となります。

早期に発見できれば基本的には保存療法を選択することができます。

下の図のように、タイプによってスポーツ中止期間は異なります。

我々は、1人1人の原因となる要素を見つけ出し、再発防止も含めて早期スポーツ復帰に向け治療を行います。

 

痛みを我慢し競技を行っていると、発見が遅れ手術が必要になるかもしれません。他には転位(骨折部がずれる)、偽関節(骨折がくっつかない)、股関節の変形、大腿骨頭壊死の危険性があります。

『大腿骨頸部疲労骨折』に対して大切なことは『早期発見・早期治療』です。

 

当院での治療を紹介します。

 

①徒手療法・運動、姿勢指導・トレーニング

当院では「Joint by Joint Theory」を基に原因と考えられる筋肉や関節に対して治療を行います。

「Joint by Joint Theory」については下記のブログで紹介しています。

先程、受傷原因として、「中臀筋の機能低下」と紹介しました。

以前、下記のブログで機能低下を防ぐ上でのトレーニングをお伝えしています。

ぜひご覧ください!

1人1人原因は違います。我々はその違いを見極め、1人の患者様にベストな改善方法をお伝えします。

 

②超音波骨折治療

当院では、下図のような「オステオトロン」を使用します。

 

『大腿骨頸部疲労骨折』は稀な疲労骨折です。

アスリートで骨盤や股関節の痛みを訴えていると発症している可能性があります。

発見が遅れると自ずとスポーツ復帰も遅れ、将来にも影響してきます。これらから『早期発見・早期治療』がとても大切です。

発症した原因を突き止め疲労骨折に準じた治療を行うことが早期スポーツ復帰には必要です。

少しでも気になった場合は相談することをお勧めします。

以上が『アスリートに発症する疲労骨折 シリーズ⑤ 骨盤部 』 〜大腿骨頸部疲労骨折〜でした!!