鴻上尚史さんの人生相談が好きでよく読んでいる

優しい文体で相談者に寄り添った温かい回答だけど、すごく的確で納得できる

しかもいろんな切り口から書かれていて面白い

 

以前、不倫に関する相談に乗っていた

既婚者との恋に悩む女性

鴻上さんは炎上覚悟で不倫を否定しなかった

よくありがちなモラルやリスクや損得で判断することはなく、今の自分の気持を大切にしたらいい…と回答していた

「人間のどうしようもなさ」はなくならない

モラルや秩序だらけの世界は息苦しい

と言っている

演劇界の人だから、より感性を大事に考えるのかもしれない

 

初めてこの記事を読んだのは、夫の不倫を知る前だった

相談者に対して全然嫌な気持ちにならなかった

純粋だからこそ、こんなに悩んでいる

悩んでいるだけまだまともだ

鴻上さんの回答も興味深くて、確かにそうだなと思った

人間は複雑な感情を抱えていて、白黒はっきりできることばかりじゃない

矛盾を抱えて生きている

それが人間らしさだと思うと

この女性を否定する気になれなかった

 

不倫の当事者になった今

これを読んでどんな気持ちになるのか

前とは違う感情が湧いてくるのか気になって、読み返してみた

その結果

相談者の女性にも、不倫を否定しない鴻上さんにも印象は変わらなかった

ただひとつ前と違う感情があった

文章にはあまり出てこなかったけど

相談者の彼、既婚男性の存在が見えてきて、異様に腹が立った

中途半端なことをしてるのはこいつだ

こいつを殴ってやりたいと思った

 

不倫がいけないのは、傷つく家族がいるから

不倫夫は、それまで共に過ごして信頼を築いてきた家族を裏切っている

不倫女は会ったこともない家族の気持ちは考えにくいのかもしれないけど

不倫夫は一緒に過ごしてきたのだから、家族がどんな気持ちになるか想像できるはず

どっちが悪いという話ではない

モラルを語りたいわけでもない

「人間のどうしようもなさ」「人間らしさ」とかさっき書いたけど、

不倫夫にその結果を引き受ける覚悟があるとは思えない

だからどうしても既婚者側に嫌悪感を抱いてしまう

夫と重ねてしまうのだろう

 

そういえば

一夫多妻制が許されていた時代の「源氏物語」でも

たくさん出てくる女性はそれぞれ魅力的で好きだったけど

光源氏はなんとなく嫌いだったな