昔よく行っていたバーがあった

若者向けの店だったけど、

なぜかいつも来ているおじさんがいた

40代後半くらい、妻子持ち

女の子の恋愛相談に乗ったり

コンパの仲介をしたりして

若者に馴染んでいた

今思えば何しに来てたんだろう?と思うけど

 

ある時そのおじさんが昔の話をした

子供が6歳の時、離婚しようとしたらしい

その頃奥さんとはうまくいってなくて

すごく好きだった愛人がいて

一緒になりたいと思った

奥さんに、離婚したい旨を伝えると

「これだけは見て」と言われて

子供が生まれてから今までの成長を記録したビデオを見せられた

見たあと

「こんなにかわいい子がいる」

「私も悪かったところがあるかもしれない」

「でもこの子のために家族でいて」

と説得された

それで離婚を思いとどまった

…という話を

「若い頃の情熱的な自分」の武勇伝を語るかのように話していた

 

そのおっさんのことはどうでもいい

 

奥さん、

どんな気持ちで説得したんだろう

 

離婚を回避する行動としては正しいと思うし、実際に成功してる

不倫したことを責めない

自分も悪かったと反省する

子供への愛情を思い出させる

 

でも

自分や子供を見捨てていこうとした夫

ショックじゃないはずがない

離婚は考えていなくても、

普通は責めたり取り乱したりしそうだけど

その奥さんは

離婚しないための最善の行動をとった

すごいと思う

きっと優先順位が明確なんだろう

 

・不倫されても愛情がある

・経済的に夫が必要

・子供に父親は必要

 

色々考えられるけど、守りたいものがはっきりしている

そのためには私情(怒りや悲しみの感情)は持ち出さない

しっかりした人だなぁ

私は私情だらけだ

 

そして、それから十数年経っても

真っ直ぐ帰らず毎晩バーで飲み歩くおじさん

その後の夫婦関係はわからないけど

この話を聞いたあと

「奥さん、そろそろ熟年離婚の準備してるんじゃないですか?」

と言いたくなったけど我慢した