皮膚科でよく見る疾患の中に「イボ」があります。
患者さんは、出っ張っているものを「イボ」ということが多いのですが、今日は
皮膚科でいうところの「イボ」つまり「尋常性疣贅」についてのお話です。
病因は、ヒト乳頭腫ウイルス(human papilloma virus:HPV)直径55nmのとても小さなウイルスです。200以上の異なる型があります。
その中でも外来患者さんの90%以上を占めるのが尋常性疣贅(verruca vulgaris:VV)です。
四肢末端に好発します。HPV2型27型57型がよく検出されます。
ウイルスは皮膚の微少外傷から侵入し、表皮基底細胞に感染します。
潜伏期間は平均3ヶ月程度。
最もよく行う治療は、凍結療法(液体窒素)です。
液体窒素は-196℃(ドライアイス -78.5℃)であり、細胞を凍結させる治療法です。
凍結療法は、物理的作用、血管作用、免疫作用があるといわれています。
綿球法、スプレー法、ピンセット法(鑷子を用いてつまみながら凍結)があります。
私はスピール膏、ビタミンD3軟膏外用を液体窒素療法と併用することが多いです。
ビタミンD3軟膏は、作用機序として細胞の増殖と分解異常を正常化するためVV治療に用いられるようになりました。
ビタミンD3軟膏は単純塗布ではなく、ラップなどでくるんでODT(密封包帯法)を行うと有効性がアップします。VD3とスピール膏を併用することも有効です。
とても多いのが、VVを「たこ」や「うおのめ」だと思っている患者さんです。
大きくなる前に、早く皮膚科を受診してくださいね