森田信吾『栄光なき天才たち』(集英社ヤングジャンプコミックス版)。


高校の頃、YJで読んでいた。


(ただし、立ち読み。当時は、漫画雑誌がビニールで包まれる前。)


特に好きでもなかったが、入手困難になりつつあるそうなので、順に手に入れて読んでいる。


14巻までは,大変面白く読んだ。


(当時は分からなかった面白さがある。)


ところが、15巻・16巻になると、流通が少ないせいか、値段が1000円する(当時、380円)。


それなのに、内容が政治的に偏向しているので、指摘しておきたい。


『栄光なき天才たち』15巻「満鉄特急あじあ号」編

(原案:林青悟「満鉄超特急あじあ物語」)

※満州でリットンへの直訴状を朝鮮人警官が渡そうとして失敗。

 その後、日本軍人から壮絶な拷問を受ける。

※※中国大陸における日本軍の「三光作戦」を事実として記載。


『栄光なき天才たち』16巻「名取洋之助」編

(原案:三神真彦「わがままいっぱい名取洋之助」)

※※中国大陸における日本軍の「三光作戦」を事実として記載。



上の※、※※ともに、こういう事実があったのか。


『栄光なき天才たち』がノンフィクションであれば,根拠を明示してほしい。


ともに、筆者の森田信吾氏が原作小説を右から左へ漫画化しただけであるか、原作小説にない森田氏による独自の脚色かは、不明。


ただし、当時(80年代)は日本軍の蛮行をフィクションでも書き立てること、「三光作戦」も事実として疑問を挟まないことが良心的とされていた時代であった。


当時の私なら、森田氏を良心的な作家と思っただろう。


名取洋之助が時流に迎合したように、森田氏も読者に迎合し、時代と寝たのだと思う。


いずれにせよ、『栄光なき天才たち』は、14巻で買うのを止めておくのが吉である。


(ちなみに、17巻は15000円である。)