山形の中に、一人のお天気アナが住んでいました。

お天気アナは、山形県民たちとも仲良くしたいと考えて、自分の番組で 「心のやさしいお天気アナの天気予報です。どなたもご覧ください。鶴岡市の様子がございます。衛星写真もございます。」と呼びかけました。

けれども、山形県民たちは疑って、誰一人視聴しませんでした。

お天気アナは悲しみ、信用してもらえないことをくやしがり、おしまいには疲れすぎて、ご飯が食べられなくなりました。

そこへ、友達が訪ねて来ました。
http://ameblo.jp/miharu-okada/

友達は、(一緒にそばを食べながら)わけを聞いて、お天気アナのために次のようなことを考えてやりました。

友達がNHKへ電凸して、大暴れをする。そこへお天気アナが出てきて、友達をこらしめる。そうすれば、山形県民たちにも、お天気アナがやさしいアナだということがわかるだろう、と言うのでした。

しかし、それでは友達にすまない、としぶるお天気アナを、友達は、無理やり引っ張って、NHKへ出かけて行きました。

計画は成功して、山形県民たちは、安心してお天気アナの天気予報を見るようになりました。毎日、毎日、ネットからテレビへ、三人、五人と連れ立って、見に来ました。

こうして、お天気アナは数字を持ちました。お天気アナは、とても喜びました。

しかし、日がたつにつれて、気になってくることがありました。

それは、あの日から訪ねて来なくなった、友達のことでした。

ある日、お天気アナは、友達の家を訪ねてみました。

友達の家は、戸が、かたく、しまっていました。

ふと、気がつくと、戸のわきには、貼り紙がしてありました。

そして、それに、何か、字が書かれていました。

「みはる、山形県民たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪いお天気アナだと思われるかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。どこまでも君の友達より。」

お天気アナは、だまって、それを読みました。

二度も三度も読みました。

戸に手をかけて顔を押し付け、しくしくと、なみだを流して泣きました。

泣いたお天気アナ
(おしまい)