中川さんの奥さんの誕生日を私のために使ってくれることになった。
それでも、私の気持ちは落ち着かなかった。
中川さんはこのままその日は私と会ってくれるだろう。
一日ずっと私といて、私の行きたいところへ行き
私の食べたいものを食べ、私のしたいことをするんだろう。
その間中川さんはその日を私のために使ったことについて
私に感謝を要求することも、今日が何の日かを口にすることもなく
ずっと笑顔で隣にいてくれるだろう。
中川さんはそういう人なのだから。
でも、ちょっとした瞬間に奥さんのことを思うんだろう。
申し訳なかったと。
埋め合わせをしなくてはと。
決して口にも顔にも出さないけど、私と一緒にいるその日に必ず何度も思うだろう。
中川さんはそういう人なのだから。
隣でそんなことを思われるのではと考えただけで嫌だ。
奥さんに対して申し訳なかったと。
可哀想なことをしたと。
なにかしてあげねばと。
そんなことを考えられるのは嫌だ。
私はわがままなのだから。