この7月に紙幣が全て新しいものに切り替はったが、二千円札は変わってゐない。
と云ふか、二千円札は2000年の沖縄サミットを記念して発行されたのだが、その後2004年以降は増刷されてゐないし、沖縄県を除いて殆ど流通してゐない。
不人気だった理由は、ATMや自販機の対応が進まなかったこともあるが、日本の貨幣が永年1・5を単位としてきた習慣が大きいのではなからうか。
従って今回の新札発行の俎上には挙がらなかったのであらう。
もっとも過去には20銭銀貨や、上の1930年発行の20円紙幣と云ふのがあった。
実用面で言へば2の単位を加えるのは大変便利な筈だ。
5と10の開きは2倍であるのに1と5の開きは5倍になるため、例えば五千円札で千円の買い物をしてお釣りを貰ふと少なくとも4枚の紙幣となる。二千円札があれば2枚で済むので財布が膨らまない。(膨らむことを好む人もゐるかも知れないが)
諸外国では現金を使ふことがどんどん減ってゐるが、2を単位とする貨幣は普通に流通しており、1・5より多く使はれてゐる場合もあるやうだ。2ドルや20ユーロなどがさうだ。
米国では25セント硬貨が普通に使はれており、自販機などもこれを前提とする場合が多い。
話は全く変はるが、電子部品に抵抗やコンデンサと云ふ基本的な部品があり、いろいろな数値(kΩやμFなどで表される)のものが市販されてゐる。
コンデンサは普通それ程の精度は要求されないが、抵抗は設計時に計算で求めた値になるべく近いものを選択する。
しかし細かな端数まで用意する訳には行かないので、代表的なものが規格化されてゐる。この規格値を、
1、2、3、4、5 ・・・・ 9、10(kΩ)
としたのでは、隣の数字との比率が余りにバラバラになってしまい、近い値が求め難い場合がある。
この不便を解消するために、隣との比率が一定となるような値が規格化されており、例えばE12系列と呼ばれるものでは、
1.0、1.2、1.5、1.8、2.2 ・・・・ 5.6、6.8、8.2、(10)
と云ふ等比数列が使はれる。
「それがだうした」と言はれさうだが、二千円札がもっと流通して、
1、2、5、(10)
から選択できればもっと便利だらうなと云ふ戯言に過ぎない。