ブギウギ | ごまめの歯ぎしり

朝ドラのお陰で「ブギウギ」が話題を集めてゐる。
この笠置シヅ子の東京ブギウギについて思ひ出したことがある。




長谷川町子作の漫画本「似たもの一家」(第ニ集)が1冊ずっと前から本棚にあり、そこに登場するのだ。
これを転載するのは著作権に抵触するが、一コマだけなので大目に見てもらおう。

これは4コマ漫画ではなく、10コマ程度の短編集である。
主人公家族が隣家から子供を預かるが、なつかずに泣いてばかりゐる。
何とか機嫌を取ろうとしている内に、突然陽気に笑ひだす。
その原因は、作家であるこの家の主が常用してゐる「ヒロポン」を誤って飲んだためであった。

ヒロポンは現在で言ふところの覚せい剤の一種である。
この漫画が最初週刊朝日に連載された1949年当時は、覚せい剤の使用や販売に対しては寛大であったらしく、疲労回復などの目的で一般的に使はれてゐたやうだ。
「てっきりのんでるわ」のセリフはこのことである。

ハイな状態の子が東京ブギウギを歌ってゐるが、このころのこの歌の流行り具合が
偲ばれる。
またこの姉弟の名前はミヤコとカンイチであり、言ふまでもなく尾崎紅葉の金色夜叉の登場人物に倣ってゐるが、今となってはあまり気が付かれることもないかも知れない。