むかし、東京ですごく怖い体験をしたので、そのときのことをここに書き記しておきたい。
僕は午前中に都心で仕事を終え、郊外へ向かうがらがらにすいてる電車に乗っていた。
するとどこかの駅で、当時『ヤマンバ』とか呼ばれていたお化けのようなメークをした女子高校生が二人乗ってきた。顔は『ガングロ』で、白いマニキュアと口紅を塗りたくって、髪は金髪のあれである。
彼女たちは顔も体もパンパンに肥満していて、吹き出物だらけで、昨夜は野宿でもしていたのかと思われるほど汚らしく、酸っぱい臭いが今にもこちらへ漂ってきそうだった。 ジャンクフードを食べながら、男のはなしをしていた。
彼女たちは制服を着ていたがスカートは立ったままの状態ですでにパンツが見えそうなほど短かった。それが僕の前の席に来て、わざわざ足を広げ見せつけるようにして座ったのである。
僕の知っている女性の概念から大きく逸脱していたとは言え、彼女たちとて女性は女性、僕だって男、公共の場で下着を見せられては目のやり場がない。
乗客は他に2,3人いた。どういう気持ちでいるのかと思ったが、東京の人たちはこういうことには慣れているのかもしれない。こんな緊張感に苛まれているのは自分だけだと思うとヤマンバたちに対してふつふつと殺意が沸いてきた。後にも先にも女の人に暴力をふるいたくなったのはこのときだけだ。
僕はしばらく眼を伏せていたが、どこかの駅で電車が止まったときチラとその子たちを見た。うん、汚い。パンツが見えた。というか、彼女たちが汚れた下着そのもののようであった。そうしたら、ヤマンバの一人が片方の話を制して、「つーかさぁ、あいつチラ見してね」と言いやがった。
不意を突かれた。こいつらハメやがった。声に出して言いやがるとは。まったくグウの音も出ない。たしかに自分はチラ見した。性的なものを意識していようといまいと、見たのは事実。言い訳しようとしている自分がいた。そんな汚いもの見せるなと憤っていたさっきまでの自分はどこかへ行ってしまい、あっというまに自己嫌悪に苛まれてしまった。
スキだらけの種は、東京ではあっというまに自然淘汰される。平和な生活に慣れて外来種に食べられてしまった飛べない鳥『ドードー』みたいにすぐ絶滅させられてしまう。「この人、痴漢です」とか言われたら、おそらく、あぅあぅとなってしまい気がつくと駅長室でなんかの書類にサインさせられているのである。
怖いところですよ、東京は。