北朝鮮が水爆の実験に成功したようです(?付き)。
気象庁が地震波とは異なる振動を観測したと発表したあとだけに、核実験の信憑性は高いと言えましょう。
しかし、成功したかどうかはわかりません。
というのも、核爆発はしたものの水爆としては失敗した可能性もあるからです。


水爆というのは、水素爆弾のことですが水素と酸素を燃焼させるわけではありません。

ウラニウムかプルトニウムで作った原爆で、三重水素(普通の水素に中性子が2つ余計に付いた水素、トリチウムともいいます。)に点火して核融合反応によって小さな太陽を作る爆弾です。
原爆は、高純度ウラニウムまたはプルトニウムが臨界量すなわち核分裂の連鎖反応が進む量になることによって爆発します。
最小限の威力は、臨界量よりちょっとだけ大きい質量のウラニウムまたはプルトニウムを爆発させることです。
最大限の威力は、臨界量の2倍よりちょっと小さい質量のウラニウムまたはプルトニウムを爆発させることです。
2倍より大きい威力の原爆を作るには、臨界量よりちょっと小さい質量のウラニウムまたはプルトニウムを3つ以上同時にぶつけて1つの塊にする必要があります。
これはホントに同時じゃないといけないのです。
なぜなら、先にくっ付いた塊が遅れた塊を蒸発させてしまうからです。


水爆は、そういう制限が理論的にないので、いくらでも威力を高めることができます。
ただし、核爆発の威力と破壊半径の関係はどうかというと、核爆発の威力の三乗根に破壊半径は比例します。
つまり破壊力が1000倍になると、破壊半径は10倍になるという意味です。
いくら威力を高めても、無駄なので米ソは核爆弾の威力を高める競争を止めて、複数の小型核爆弾を別々の目標に攻撃するMIRV複数個別目標誘導機の開発に向かいます。


とは言え、水爆の技術のハードルは極めて高いのです。
北朝鮮がこれに成功したならば、中国のかつての科学技術スローガン「二弾一星」に追い付いたという意味があります。
二弾一星とは、原爆と水爆に人工衛星という意味です。
一国の科学技術開発の目標にしては、穏やかではありません。
それに属国が追い付いたと言われちゃ、習近平は激怒していることでしょうね。


それで、失敗したかもしれないという話は、明日もうちょっと威力の情報が入らないとわかりません。