
私は知っている 派!
そばっていうのは、蕎麦という植物の名前で蕎麦は土地が豊かでなくとも育つので重要な穀物なんですね。
しかも、米や麦のように実の外側にタンパク質豊富な胚が露出していないので、精米で胚が失われる米なんかと違ってデンプン以外の栄養価が高いのです。
で、普段われわれが食う「そば」って麺状にした「そば切り」っていうものなんです。
昔のそば屋は、蕎麦の粉に熱湯を注いで「そばがき」という蕎麦でんぷんをアルファ化したものを酒のつまみに酒を提供していたんです。
そばの食い方としちゃ、こっちが原型なんです。
今の皆さんは、「そば切り」の方しか知らないですよね。
そばの汁でも、こだわりがあったんです。
麺と汁が別々だったりしたのが初期で、これを面倒だからぶっかけちゃうんです。
今でも「ぶっかけ」とか言いますよね。
でも、もりそばの汁で高級品は「味醂(みりん)」が入るんです。
味醂とは、言ってみれば糖分の多い酒で、旨み成分がぎっしりの高価な調味料でした。
この味醂の入った高級品を使ったのが、
本来は、普通の皿に盛るのではなく蒸籠(せいろ)に盛る「ざるそば」でした!
だから、高価な味醂をそば屋は使いたくなかったので、
「粋な江戸っ子は、汁の半分までしか漬けない!」ってキャンペーンをしたんです。
粋って言われると、江戸っ子は弱いからです。
ちょいとだけ汁に漬けてすするのが粋だったんですよ。
とはいえ、ホントはちゃんと汁に漬けて食いたい。
忌のきわに「ああ、一度でいいから汁にどっぷり漬けて食いたかった!」なんて言い残したりして。
これの目的は、味醂の使用量減らしです。
そんな、そば屋の陰謀で「かけそば」は通常どおりで、高級な方の「ざるそば」には海苔をのっけて目印にしたんです。
ところが、現在では値段の差だった味醂が江戸時代ほど高価でなくなりました。
そうなると、わざわざ汁を作り分ける意味がなくなってしまいます。
そんなわけで、海苔の有無という皆さんが多いんですが本来は味醂!