ジェットエンジンの噴射方向を変えるシステムのことです。
ロシア(旧ソビエト連邦)で開発された技術で、このシステムを採用したSu-27フランカーは空中で、でんぐり返りができるというバカみたいなことができます。
ただし、そんなことをしなくても高高度では翼による舵の効きが悪くなるので使う意味があります。
そこでF-22はエンジンノズルの上下にパドルを付けて上下にだけ偏向可能にしています。
F-35Bの場合はパドルではなく、ノズルが90度曲がって下を向きます。そして、エンジンの前にあるダクテッドファンと真上への推力を得て垂直離着陸ができます。
驚くべきことに、この技術は冷戦後にアメリカがロシアから買ったのです。


日本のATD-X通称「心神」は、F-22のようなパドルが3枚あって上下だけでなくロシア機に近い動きができます。
アメリカ軍はこの技術をあまり評価していませんが、日本はどう評価するのでしょうか。


ATD-Xは、先進技術実証機で戦闘機ではありません。
得られたデータから国産戦闘機F-3の開発の可否を判断します。
その先進技術ってのは、推力偏向システムなどほんの一部分です。
全身がセンサーとなる「スマートスキン(賢い皮膚)」、日本しか作れない複合セラミックタービンを使ったハイパワースリムジェットエンジン、ライトスピードウェポン(光速兵器:レーザー砲や高出力マイクロ波ビーム)などホントに先進技術のオンパレードです。
ステルス技術は、韓国がアメリカから技術移転を拒否されましたが、日本の場合は立場が逆ですから。
電波吸収塗料の世界トップシェアは、日本の東レですからね。
アメリカは、ATD-Xのレーダー反射面積の測定をするため、施設を貸すことを拒否しました。
そこでフランスの施設を借りて測定した結果、小鳥より小さく昆虫より大きいということがわかりました。
それは、おそらくF-22と同等の結果です。