wired.jpからのニュースで面白いのがありました。
アメリカ海軍でいよいよ実用化実験が始まります。
どっちもすごいのは、弾薬庫が要らなくなることです。
レールガンの場合、弾はありますが推進剤となる火薬あるいは爆薬が不要になります。
軍用艦の場合、被弾した場合のダメージコントロールは常に考えているわけですが、弾薬庫に被弾するまたは火災が延焼したら誘爆して沈没は免れません。
それがないっていうのは実に心強い。
レールガンとは何ぞやという方もいらっしゃるでしょう。
最近、電磁加速砲っていう日本語名が付いたみたいです。
レールに弾を乗っけて、弾の横から強力な磁力線を通してリニアモーターカーと同じ原理で砲弾を飛ばします。
爆薬が要らないのです。運動エネルギーが熱エネルギーに転換するのは隕石と同じです。
その威力はというと、「マッハ7を上回る速度で弾丸を発射し、射程距離も160km超」
「約10kgの弾丸がマッハ7の速度で飛んだ場合のエネルギーは32メガジュール。これは大まかに言って、1トンの物体を秒速252m、時速なら900km以上まで加速するのに必要なエネルギーに相当する。」
だいたい20トンくらいの空母艦載機を時速300kmに加速するのが、カタパルトですから同じくらいのエネルギーですかね。
そうなると、フォード級空母は電磁カタパルトを使うので対応可能な電力ってことになりそうですね。
「最終目標は、64メガジュールでの発射。その場合、砲弾は6分間で約320kmを進み(終速はマッハ5)、軍艦は敵国の対艦システムのはるか射程外から攻撃することが可能になる。」
チョット待て、そんな距離で当るのか?
320kmって東京から名古屋より遠いぞ!
誘導装置が付いていなかったら絶対に当りません。
たぶん何らかの方法で誘導するんでしょうね。
6分間も敵艦が砲弾の届くまで待っていてくれるとも思えません。
64メガジュールということはエネルギーは2倍で、速度はその平方根だからマッハ7×1.41421356=マッハ9.89≒マッハ10か
秒速340mがマッハ1だから、秒速3.4kmですね。
十数年前に、ネットで知り合った筑波に住んでいる兵器のエンジニアと居酒屋で飲んだことがありました。
常磐線の金町っていう東京の下町なんですけどね、双方離れているんで中間地点ということだったんです。
そのとき、レールガンの話になったんですよ。
従来型の大砲の弾の初速は、秒速2kmが理論的限界なんだそうです。
ところが、レールガンだと秒速4kmが可能だそうで、マッハ10ってのは理論的にもいい数字ですね。
レールガンを成立させるのに問題となるのは、電源と弾の材料だってことでした。
というのも、電磁カタパルトは数秒の間に加速するのに対して、レールガンは同じ電力を1秒の100分の1とか1000分の1とかって一瞬で放出します。
だから、キャパシター(コンデンサー)に溜めておいて一気に放出します。
このキャパシターの体積が「この居酒屋くらいになります。」だそうです。
というわけで、戦車に「この居酒屋」を付けて走らせるわけにいかないから「使い物にならない」と言っていました。
でも、軍艦なら居酒屋くらいあってもいいですからね。
さらに、超強烈な磁力線が通るってことは皆さん学校で習ったでしょう、磁力線の周りに「渦巻き電流」が流れます。
そして、その電流も超強烈で材料が電気抵抗の熱で溶けてしまうんだそうです。
導電性のセラミック砲弾かなんか開発したんですかね。
もしそうなら、絶対日本の某企業が協力していますよ・・・
これと同時にレーザー砲を含む数種類の指向性エネルギー兵器も開発中だそうですが、それはまた次の機会にご紹介します。