サントリーHDが1兆6500億円でアメリカ最大手ジムビームを買収したってニュースで目が覚めました。
このアナウンサー桁間違って読んでないか?と一瞬ではなく、しば~らく疑っていました。
過去3ヶ月平均株価の24%増しが買収価格だそうで、単純に計算して3960億円高く買い取ったわけです。
いくら無借金経営のサントリーといえども相当思い切った決断です。
さすがのサントリーもこれで借金1兆円になるそうです。
佐治社長自身「一世一代の大勝負」と述べています。
この時価より高値で買った差額の3960億円は、日本の会計上「のれん代」という言い方をして資産扱いになりますが、実質マイナス資産です。
サントリーは上場していないから、どういう決算になるかわかりませんが、長期間この償却で利益を圧迫することになるでしょう。
最大20年(償却期間の上限)は、それで赤字になるんじゃないでしょうか。
20年無配なんて普通は株主が許してくれませんよ。
上場していないからできる経営ですね。
それでも、成算があるからやるんでしょう。
ビール事業が軌道に乗ったから攻めに転じたということでしょうか。
私は、その要素も大きいと読んでいます。
ビール事業って、装置産業でサントリーのこの事業参入も佐治社長にとって(一世一代じゃないが)大勝負の一つだったに違いありません。
アサヒ、キリン、サッポロの3社が寡占の市場に割り込むのは、不可能に近いと思われていたのを成功させたことが自信となったのでしょうか。
ジムビームは、バーボンと呼ばれるアメリカンウイスキーがメインのメーカーです。
いわゆる蒸留酒の一種であるウイスキーは、利益率が高く新規参入が少ないんだそうです。
確かに、ウイスキーを作っているメーカーというより生産国自体が少ないんですよ。
イギリス、アイルランド、カナダ、アメリカそれに日本くらいです。
ウイスキーの故郷と言えば、スコットランドですが日本でいうと北海道みたいな気候だそうです。
そういう気候に加えて、8年とか12年といった長期間寝かせておかなければなりません。
そんなに時間がかかるんじゃ新興国に参入しようとする奴はいないでしょう。
しかも、社会自体も安定していないとできません。
ウイスキー作りってハードルが高そうです。
そういう意味での勝算があったのでしょう。
なにしろ、アメリカの市場は有望です。
日本はこれから人口が減りますが、アメリカは21世紀中増え続けると思います。国連がそんな予測を出していますから。
自然増と移民が半々くらいなんです。
サントリーは、ジムビーム買収でテキーラやコニャックなど他のブランドと販売網も手に入れることになります。
しかし、この大勝負の結果を出すのは佐治社長じゃなくて次期社長なんじゃないの?