先日書いた「真の目的」で使ったモルガンスタンレーのアナリストの数字を私がまとめた表について、若干の注釈を付けたいと思います。
これ信用しないでね
この数字は、モルガンスタンレーの一人の女性アナリストが予測したものです。
人口動態など無視して、単純に今の成長率が40年以上続くとして出したのでしょう。
非常に精度の低い予測ですが、モルガンスタンレーの予測というだけで信頼感が出てしまうのが問題です。
これとは別に、日本経済研究所が中国の人口ボーナスが終わり人口オーナス(重荷)になることを加味した予測をしています。
それだと2050年までに、一旦は中国のGDPがアメリカを超えるものの再びアメリカに抜き返されるというものです。
さらに、当分中国がアメリカを追い抜くことはない、という予測も出てきました。
私はこれを最も支持しますが、一般的には今だに一旦はアメリカを追い抜く説が有力のようです。
おそらく、シェールガス革命でエネルギーを完全自給できるようになったアメリカは、製造業が復活します。
単純な復活ではありません。
かつてアメリカが「世界の工場」だったころの製造業は、自動車や機械類が主でした。
今後は、化学製品や食料品が主役になるようです。
そうでない産業も中国からアメリカまたはメキシコに戻っています。
一方、中国の製造業は労働集約型産業は、アジアの他の地域またはアフリカに移ります。
欧米にとっては、中国よりアフリカの方が近いのです。
新しい予測ほど、中国の成長について控え目に見ています。
過去30年続いた高度成長が今後も40年続くと考える方がどうかしているわけです。
中国の生産コストは、数年のうちにアメリカ南部を超えます。
過去に高度成長期を終えた国に、トドメを刺したのはインフレでした。
中国の場合は、従来奇跡的にインフレが起こらなかったために、これほどの高度成長が長続きしました。
しかし、中国の労働コストは急上昇しており、もはや「世界の工場」ではいられません。
さて、この先には2つの道があります。
その1 「世界の工場」ではなくなるものの、「世界の消費地」になって、内需主導の力強い成長を続ける。
周辺国は中国繁栄の恩恵にあずかるかと思ったら、次々と強大な軍事力にモノを言わせて他国の領土を侵略する。
(最悪のケースです)
その2 アメリカや日本は、製造業の主役が変わろうと、独自技術で新しい分野のトップに立ってよみがえりました。中国は、外国の資本と外国の技術で「世界の工場」になった初めての国でした。自力で変わることができず、成長が鈍化することで共産党政権が維持できず統一国家として存続できず崩壊する。
(最善のケース)
世界初のバブル崩壊は、イギリスでした。
「ガリバー旅行記」のスウィフトが、1720年に南海泡沫事件の叙事詩を書いています。
一言で言うと、王室を巻き込んだ植民地経営の利益を証券化した紙切れを高値で取引したバブルの元祖。
「バブル」という言葉を使ったのも、スウィフトその人でした。
その後、アメリカで起きた「大恐慌」といい、日本のバブル崩壊といい経済現象でした。
しかし、中国は違います。
高度成長(年8%成長)こそ中国共産党が一党独裁する正当性の根拠だったのです。
低成長になるということは、統一中国の政治的崩壊すなわち国家分裂を意味します。
こんなときこそ、外に敵を作り内部を固めます。
しかし、敵としてアメリカは強大すぎて、どっちにしても崩壊に至る道を避けられません。
日本なら、敵にしても怖くないと侮られた結果、24年前の天安門事件以来日本を敵国とする反日教育を行ってきました。
中国の経済的発展に日本の資本と技術は欠かせませんでした。
「井戸を掘った人の恩は忘れない。」ことが中国の美徳だったはずが、中国の経済的発展に寄与したパナソニックの工場まで反日の暴動に巻き込まれました。
日本もアメリカのように、
中国から工場を撤退するセミナーを開催するとか、
中国進出企業に懲罰的課税をしてはどうでしょう。
日本に戻るか、中国のライバルに投資しないと潰すという制度が必要です。
アベノミクスの第三の矢が不評でした。
是非とも、第四の矢に加えて欲しいものです。