キヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦氏が、フジテレビの番組中こんな話をしていました。


「中国が政治改革を行うには、今が最後のチャンスである。これを逃すと10年後の中国はだんだん経済が落ちてくる。一人っ子政策で人口が減少、生産年齢人口が減って、高齢化に伴い老齢人口が増えてくる。」
成長率が低くなるどころか、マイナス成長に陷いるというのです。


どういうことかというと、宮家氏が研究主幹を勤めるキヤノングローバル戦略研究所でシミュレーションが行われています。
2020年代ヨーロッパ経済はマイナス成長を続け、金融自由化した中国は貿易が赤字化します。
汚職と格差はますます拡がり、経済成長は4%に落ち込みます。
悪性インフレに陥り、天候不順による食料の高騰により中国南部の都市で市民と出稼ぎ労働者による大規模な反政府デモが起こります。
という前提で、ジャーナリスト、金融専門家、国際政治・経済学者、現役官僚・OBが50名参加して行ったというものです。
ここから先は産経新聞web版をご覧ください。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120920/chn12092008120007-n1.htm


これはまさに、ジョージ・フリードマンの予測そのままを前提にしています。
しかし、今のところこの前提の事態に至る可能性はそう高くないということです。
中国リスクとは、中国が強大化するリスクだけ取り上げられてきましたが、じつはその逆のリスクもあるわけです。
キヤノングローバル戦略研究所が可能性は低いと言っても、フリードマンや日本もっとも中国を嫌いな元中国人である石平氏は必ずそうなると確信しています。


2022年に中国が崩壊しそうになると、軍が北朝鮮ばりの瀬戸際外交をやらかすかもしれません。
その頃には、中国海軍にはロシアの設計による新鋭空母艦隊が2つあることでしょう。
現在の戦力で、中国が尖閣を含む沖縄県に攻めこんでも返り討ちです。
ところが、新鋭空母2艦隊があると話は別です。
日本単独では、もう中国の攻撃を防ぎきれません。
ただし、アメリカ軍との共同作戦ならば、まだ中国に勝ち目はありません。
100年の空母運用経験があり戦争慣れしているアメリカ軍と本格運用を始めたばかりの中国では勝負にならないからです。
中国が空母をまともに運用できるようになるのは、2030年代になることでしょう。


しかしながら、経済が減速した中国にとって空母の運用はとんでもない負担になります。
結局、ソビエトは軍事費に金がかかりすぎて自滅してしまいました。
中国は、米ロが核軍縮するなか核兵器を増加させています。
核兵器は、作ってから10年後に大幅なメンテナンスが必要です。
中国が無闇に軍拡することは、そのコストが経済を圧迫することにもなります。


ソビエトと同じ道をたどるならば、チベット、ウイグル自治区、内モンゴル自治区がみな独立して、さらに内陸と沿岸部が分裂するフリードマン流予測が現実味を増すことでしょう。