政治資金規正法(規制法でない)の収支報告書の虚偽記載で起訴されていた、小沢一郎氏の裁判は二審も無罪でした。
おそらく、最高裁への上告はないでしょう。
最高裁というのは、憲法判断または下級審の法律の適用に誤りがあったときに判断するところで、今回のような事実認定について判断をしません。
証拠が不充分の場合も最高裁では証拠調べをしませんから、高裁に差し戻します。
今回の事件は、本職の検察官が起訴を見送った事件です。
というのも、小沢一郎氏と秘書の共謀があったかなど立証が極めて難しいからです。
ところが、素人の検察審査会が強制起訴を決めたので、指定弁護士が検察官の代わりに起訴するという二重の素人による起訴でした。
しかも、本件の起訴理由は収支報告書に虚偽記載したかどうかなのに、検察審査会の素人と世論の関心は、巨額の土地購入資金をどこからもらったのかです。
裁判の本旨と全然ちがうんです。
はっきり言って、虚偽記載なんてどうでもいいから、キャッシュで何億円も持ってる小沢一郎氏とはどこから資金を得ているのか?
怪しいと世間が思って、検察審査会の強制起訴となったんですが、この裁判じゃそれを明らかにすることは元々できなかったのです。
だから、国会に証人として招致し金権体質を明らかにすべきだったのに、与党であったため証人喚問ができなかった。
これも政権交替が負の作用をした一つの事例でしょうか。
これで、晴れて小沢一郎氏も被告人(刑事事件は被告人、民事事件は被告)でなくなったわけです。
それで国民からの疑惑が晴れたかというと、「虚偽記載の共謀性が明らかにならなかったので、巨額資金の出所は不明だけど罪には問えませんでした。」というのが現実であって、「真っ白であると証明された」わけじゃないのです。
むしろ、今回の裁判をやったために、小沢氏側が「真っ白」と宣伝する余地を与えてしまったと言えましょう。
それにしても、小沢一郎という政治家の賞味期限はとっくに過ぎています。
この二年間だか三年間が、重要だったわけで小沢潰しを狙った誰かさんにとっては勝利なのかもしれません。