今朝の報道バラエティー番組を見ていたら、iPS細胞に関する説明が間違っていてツッコミ処満載でびっくりしました。
TBSが、みのもんたさんが無知だとはいいません。
たぶん、説明した男性アナウンサーは文系で優秀な人なんでしょう。他の番組スタッフもにわか勉強したんでしょう。
だいたい正しいんですけど、微妙に違うのです。
でも、一般的にはどういう誤解をしやすいのかわかりました。
というわけで、今さらiPS細胞について説明するつもりはありませんでしたが、ツッコミを入れることにしました。
その1.iPS細胞とクローン技術を混同している。
トキを殖やすことができるってクローン技術でしょうが。
多細胞生物の各々の細胞って、神経細胞や皮膚や筋肉とか様々な機能を持つ細胞に分化しています。
しかしながら、その細胞にある遺伝子はすべて同じです。
その分化する前の細胞を幹細胞と言います。
造血細胞は赤血球や白血球に分化できる血液幹細胞です。
さらに、すべての細胞に変化することのできる細胞がヒト胚性幹細胞(ES細胞)です。
iPS細胞は、特定の臓器や器官を作る細胞に分化させるのが目的で、個体を増殖させるにはクローン技術でいいのです。
その2.発ガン性についての誤解
「iPS細胞がどんどん殖えて癌になる可能性がある。」
山中教授が初めてiPS細胞を作る4つの遺伝因子を細胞へ組み込むのに、ウイルスを使いました。
細胞内にウイルスが残って、癌化する細胞がじつはありました。
問題は、遺伝子組み込みにウイルスを使ったことで、癌化はiPS細胞自体の問題ではないのです。
山中教授は、後にウイルスではなくベクターというDNA 外の遺伝子を使って4つの遺伝因子を組み込むことに成功しています。
その3.何でも作れるという誤解
現在、iPS細胞で作っているのは角膜とか心筋のシートです。
なぜかというと、厚みのある組織を作るには組織の中に酸素と栄養を供給する血管が必要なのです。
iPS細胞の技術だけでは、これができません。
ところがよくしたもので、この分野も日本が得意とするところです。
癌細胞というのは、自分に栄養を供給させる新しい血管を作らせる能力があります。
逆に、この血管を作らせないことで、癌を兵糧攻めする癌治療もあります。
この血管を作らせる癌細胞の能力を応用して血管を作る技術があります。
たとえば、肝臓という臓器は血管でできていると言って過言ではありません。
この血管の駕籠の間に肝細胞が詰まっているんです。
日本が生んだ2つの技術が合体して、世界を救ってほしいものです。
私は思うんですよ、パラリンピックに参加する人が一人もいなくなる世界を作るのは日本じゃないのかって。
ちなみに、明日はノーベル化学賞の発表で日本人研究者が受賞する可能性があります。
さあ、皆さん期待しましょう!!!