「アラブの春」のあと、運動の主体だった若者たちが望んでいるような姿には、全くなっていません。
面白いのは、リビアとエジプトとシリアが三者三様違っていることです。
この違いの根源は、軍の関わり方の違いに行き着きます。


リビアは、金持ちのくせに隣国にちょっかいを出したり、西側からの武器の補給ができないために軍が結構弱体化していました。
そんなわけで、フランス軍の空爆で正規軍が反乱軍に負けてしまいました。
結局、カダフィ大佐は落ち延びる途中、アメリカ軍の無人機に車列を攻撃されて下水管に隠れていたところ反乱軍の少年兵に撃ち殺されました。


エジプトは、親米政権で正規軍の装備は充実しており、イスラエルとも良好な関係であったため軍は疲弊していません。
機を見るや敏な軍部は、民衆側についてムバラク大統領に替わって実質的な権力を掌握しています。
今回の民主的大統領選挙で選ばれたムルシ氏は、イスラム教組織を背景としており、軍部とは対立関係にあります。
エジプト最高裁は、議会の解散を命じる決定をしましたが、ムルシ氏は逆に議会の招集をかけています。
今週のTIME誌の特集卯は、まさにこのエジプト特集でした。
今後、軍とムルシ氏の権力闘争が如何に繰り広げられるのか?
興味のあるところです。


そんな中で、最も悲惨なのがシリアです。
シリアのアサド大統領は、イギリス留学で西側の価値観とイギリス人の奥方を得たと思っていました。
ところが、父親のパパアサドを世襲して大統領となるや、一転して自国民を虐殺しはじめます。
シリア国民にとっての悲劇は、軍が大統領に忠誠を誓っているうえ、ロシアと中国が利権を持っていることです。
だいたい、この人権という意識が完全に欠如している中国やロシアが味方についている国ってのはろくなもんじゃありません。
最近、ウィキリークスで、アサド大統領が亡命したがっているというロシアの外交文書が暴露されたり、軍の実力者が亡命しています。
そろそろシリアも軍の忠誠心にも弛みが出てきたようです。


結局、民主化の遅れた国は軍という実力組織が権力を掌握しやすいのです。
もっと言うなら、社会体制が近代化前なんです。
独裁がこけたら、宗教勢力が出てくるんですから中世なんです。


ここから何がわかるかというと、

我らが近隣諸国では中世どころか未だに古代の中国という国があります。
共産党という王朝が清朝にとって替わりましたが、これこそ中国史上最悪の王朝で、自国民7500万人を殺し、チベットとウイグルの民を民族ごと抹殺しようとしています。
我々が歴史と世界から学ぶとすれば、中国が古代王朝から脱皮するには、軍部に共産党王朝を打倒してもらうしかないということです。


そして、

共産党を打倒した軍部が世界と戦争することで、中国はバラバラになり近代化の道に進むことができるようになります。
中国は、世界の景気を引っ張ると期待されていました。
でも、本当は逆なんです。
それについては、別途ご説明しましょう。