イランと北朝鮮がウラン濃縮をやっているという報道があります。
今日は、このことについて書いてみましょう。


ウランというのは、核分裂の連鎖反応をするウラン235と連鎖反応しないウラン238の主に2種類が自然界に存在します。
このうち、燃料や兵器に使われるウラン235はわずか0.72%しか存在しません。
核燃料とするには、3.5%くらいに濃縮する必要があります。
これがまた厄介な作業なのです。
放射性同位元素というのは、中性子の数が違うだけで、化学的性質を決定する電子の軌道が全く同じなんです。
つまり、薬品などで化学的に分離することが不可能です。


そこで、わずかな質量の違いを使って主に2つの方法で濃縮しています。
それがガス拡散法と遠心分離法です。
ガス化したウランを直列・並列に並べた隔膜を圧力をかけて透過させる方法と、遠心分離機を使って分離する方法です。


現在、ほぼ半々の割合で行われていますが、エネルギー効率の良いのは遠心分離法です。
起動時に大きなエネルギーを必要としますが、ロスなく回転を維持できればそんなにエネルギーを食いません。
イランも北朝鮮も、この遠心分離法でウラン濃縮を行っています。
いずれにしても、ウラン濃縮には高度な技術を必要とするため、彼らが使っている機械は日本製が多いようです。
日本の優秀な民生技術が軍事利用されています。
じつは、アメリカの機関が定期的に日本の優秀な民生技術を調査しています。
きっかけとなったのが、ソニーのプレイステーションに使われる画像処理チップでした。
あまりにも優れた性能で、軍事利用されるのではないかと恐れたのです。
最近のスーパーコンピュータは、画像処理チップを使っているのです。
おそらく、中国の独自開発したスーパーコンピュータにも使われているのではないでしょうか?


というわけで、高度な技術を必要とするウラン濃縮ですが、密かに核兵器を保有するには向いている面があります。
なにしろ、原子炉がなくても作れるのでIAEAに原子炉を査察されても構いません。
第2に、プルトニウム型原爆より起爆が簡単と言われます。
北朝鮮の前の核実験の規模が非常に小さかったのは起爆に失敗して、予定の威力が出なかったという好意的な見方があります。
(好意的でない見方は、そもそも核実験したフリで、ダイナマイトを大量に爆破させたという推測です。)
第3に、プルトニウム型原爆は10年毎に大幅なメンテナンスをする必要があり、非常に維持費がかかります。


そんなわけで、ならず者国家が今ウラン濃縮をやっているわけです。
そんななかで、イランで25%に濃縮されたウラン235が発見されて問題になりました。
20%以上の高濃縮ウランは、主に軍事利用されています。
原子力潜水艦の燃料や、100%近くまで濃縮したウランは核兵器の材料になります。
イランは、20%まで濃縮する予定だったが手違いで濃縮が進んでしまったと説明しています。
(パンツは脱いだが、まだしていません。と聞こえる私は間違ってますか?)


イスラエルとアメリカは、共同でコンピュータウイルスを開発したと言われています。
イランの核兵器開発施設のコンピュータに侵入して、ウイルスは遠心分離機の運転スピードを操作して機械を破損させることに成功したと言われています。
つい最近、イスラエル軍の高官が自国のサイバー作戦は自衛が主であるが、自らサイバー攻撃をしていると認めました。
イスラエル恐るべし!