ギリシャ総選挙の結果、泡沫政党だった急進左派連合が第二党に躍進しました。
日本でいうと、社民党が自民党を超える勢力となったようなものです。
ギリシャ国民は、ドイツやフランスに押し付けられた緊縮財政はゴメンだ、ただし、ユーロ圏には残って他国からの借金と援助を受けたいという腐り切った根性を持っています。
これには、ギリシャ以外のユーロ圏の国々も甘ったれんじゃない!と思っています。
特に最大のスポンサーであるドイツ国民はとくに怒っています。


当の急進左派連合はなんと言っているかというと

「ドイツやフランスに押し付けられた緊縮財政はやめる。しかし、ギリシャが破綻した奴らも只では済まない。だから、ユーロ圏から追い出されることはない。」
一面当たっていまして、アイルランドやスペインも危ないと言われていて、ギリシャを破綻させるとこれらの国の金利も上昇します。
さらに、ギリシャ国債を買っていた金融機関がダメージを受けて金融不安となり、ヨーロッパ発の金融恐慌になる可能性が指摘されています。
だから、昨年からサルコジが嫌がるメルケルを羽交い締めにしてまで、ギリシャ支援の枠組みを作ってきたのです。


ところが、甘ったれで浪費癖のあるギリシャ国民は、これまた甘ったれ政党の急進左派連合を選びました。
いまのところ、どの政党も過半数を持っておらず、新政権が発足していません。
6月末までに緊縮予算と援助の受け入れを決めないとギリシャの財政は底をつきます。
急いで再選挙を行わなければなりません。
これで急進左派連合はさらに議席を伸ばして第一党になると予想されます。
ギリシャの選挙制度というのは面白くて、第一党に50議席のボーナスがつきます。
恐らくこれで、従来泡沫政党だった党同士の連立政権が誕生します。
日本なら、社民党と共産党の連立政権ができるようなものです。


さあ、新政権が「潰せるものなら潰してみろ!」とヨーロッパ諸国とヨーロッパ中央銀行ECB、国際通貨基金IMFに見栄を切るのでしょうか。
EUにとってギリシャの経済規模は2%にすぎません。
潰しても堪えられない規模ではないのです。
IMF のラガルド総裁も昨年とはわけが違うと言っています。
昨年ヨーロッパの金融機関が危なかったのは、

ギリシャ国債のデフォルトを想定して大幅な消却を行って損失を出したからです。
つまり、ギリシャが潰れる準備はできているのです。


「さあ殺せ!」と強がっている男は、自分の額に銃口が押し当てられていることに気付いていません。
赤字垂れ流しのギリシャにドイツ国民は血税を注ぎ込むことに怒っています。
メルケルは元々「やる気のないWhite knight(白馬の騎士)」(アメリカTIME誌の表現)です。自国民からNicht (No)を突き付けられ、ギリシャ国民も破滅を選ぶなら救いの手を引っ込めたくなる誘惑に勝てるでしょうか?


ギリシャにとって最良のシナリオは、緊縮財政と支援を受けながら、3年ほどかけて歳入と歳出を均衡(プライマリーバランス)に持っていき、ドイツ国民からの輸血が必要ない状態にします。
そして、出血が止まったら借金はチャラにしてもらうことです。
しかしながら、ギリシャ国民は出血を止めないまま、ユーロ圏という病院から叩き出される道を選ぶようです。