このテーマ、じつはNewtonの今月号から思い付いて書いています。
ただし、Newton が食料とエネルギーの供給面の特集であるのに対して、私は経済に重点を置いて書いています。


世界の人口が100億人になると言っても、そのほとんどがアフリカです。
2011年70億人だった人口は、2100年に101億人になると予想されます。
この内アフリカの人口増分が26億人です。
これでインドが3億人増えてほぼ全部です。
食料供給国のオセアニアは、ほぼ人口は横ばい。
北米も、アメリカが1億人増えても輸出にはほとんど影響ないでしょう。
恐らく飢えるのは、アフリカだけです。


アジアの人口は、今世紀中盤から減少に転じます。
ヨーロッパは横ばい、中南米はやや増えるくらい。
中国のGDPが、2050年頃にはアメリカの2倍にも達すると予想するゴールドマンサックスの女性アナリストがいます。
彼女は、特殊合計出生率が不変で、経済成長率も不変というあり得ない前提で計算しているものと思われます。
これほど急激に人口が減少して、しかも高齢化した社会というのを世界のどこの国も経験したことがありません。
人口オーナスを考慮に入れた成長モデルでは、中国は一旦アメリカのGDPを抜いたあと2050年頃に再びアメリカに抜き返されるとされます。
さらに、その50年後の2100年には、現在アメリカの人口は中国の4分の1ですが、中国の半分くらいになっています。
アメリカの一人あたりGDPが現在中国の約9倍です。
2050年頃その差が4倍程度に縮まり、労働集約的な産業から中国を脱出し、その後人口減少に伴ってGDPも緩やかに減少します。
2100年頃、アメリカのGDPは再び中国の2倍程度の規模になるでしょう。


ただ、8%成長が中国統一の必須条件とされており、マイナス成長に転じた中国を共産党が統治することができるのか甚だ疑問です。
胡錦濤でさえ、自分で何らの決定もできない程に軍の力が大きくなっています。習近平に至っては完全に軍の言いなりとも言われています。
中国をGDPで圧倒するようになったインドは、チベット独立を支援するでしょう。
チベット独立戦争は、インドと中国の代理戦争となって、中国の国力を蝕みます。
かくして、中国は内部矛盾と外部からの干渉によって分裂の危機が訪れるという、ジョージ・フリードマンの予測が現実味を帯びてきます。


さて、飢えた36億人のアフリカの民は、どうやって食っていくのでしょうか?
最大の人口を抱えるナイジェリアは、産油国でアフリカで最も裕福な国のはずですが、石油収入150億ドルのうち100億ドルが使途不明です。
オバサンジョ大統領周辺で山分けにしているのでしょう。
せっかくの収入が庶民にまで行き渡らないのです。
この腐敗し、内戦に明け暮れる国の石油はあと40年で尽きます。
3大部族の争うこの国が2100年まで、統一された国の形を保てるかさえ定かではありません。
ナイジェリアだけでなく、アフリカ諸国で石油が尽きるまでに安定したアフリカ人国家を築いている国はないでしょう。
ただ、ナイジェリアはアフリカ諸国の中では教育水準が高く、良い指導者にさえ恵まれたなら、南アフリカと共にアフリカの盟主となる可能性はあります。
ちなみに、エジプトやリビアはアフリカというより、オスマン帝国のアラブ世界に属すると考えられています。