福島県の沖合40kmのところに、経済産業省の委託を受けて、産官学の風力発電の実証実験を始めるという発表が今月はじめにありました。
その記事の最後には「海岸線を王室が管理するイギリスと違って、漁業権の調整が立ちはだかる。」と書いてあるんです。
余計なことを書きやがって、と思ったら早速に福島県の漁協が反対の声をあげました。
種子島宇宙センターは、漁業権の調整でロケットの通年打ち上げができなかったんです。
ロケットの打ち上げよりよく漁業権の方が大事だったんですね。
福島県漁協によれば、天然ガス採掘のために民間企業が高さ90mのやぐらと長さ40kmのパイプラインを引くのに10億円規模の補償を取ったそうです。
今回の実験では、高さ200mの風車が回り海底ケーブルも敷設されます。
実験だけでも10億円は堅いところです。
さて、どれだけ補償(国民の税金)をむしりとるのでしょうか?
漁協としては、海底ケーブルでメインの底引き網漁ができなくなるので、絶対反対の構えのようです。
でも、漁業権を補償して漁業をやめてくれたら、廃業補償として毎年1000万円払うと言えば海上風力発電は問題なく可能でしょう。
底網引き漁なんかしなくていいんですね。
だって税金で所得が補償されるんですから。
やっと、コメ農家並みの待遇を得られたわけで、特別に漁業が優遇されていたわけじゃありません。
もちろん、その費用は国民の皆さんが払う電気料金から支払われるわけです。
べつに漁師だけが優遇されているわけではありません。
減反補償金なんかも、仕事さえしなければ、お金をもらえる制度です。
仕事さえしなければ、お金をもらえるって制度は他の国にあるのかないのか不勉強にして知りません。
日本人が不思議に思わない制度を変だと思った外国人がいます。
ジェイムズ・スキナーさんです。
彼は日本の常識が理解できないらしく、変なことをいいます。
漁業権を得るのに、日本の漁師はどれだけの投資をしたのか?
全然お金を払っていないのに、どうして権利が得られて補償がもらえるのか?
日本の農家も、戦前はほとんど小作農で土地を持っていませんでした。
ところが、マッカーサーが不在地主から土地を取り上げて小作人にうりわたしたのです。
一反=約1000平米当りタバコ12箱分の価格だったそうです。
当時のタバコは今みたいにタバコ税がかかっていませんから安かったのでしょうね。半分くらいでしょうかねえ。
1週間禁煙したら、土地1000平米くれると言ったら100%禁煙に成功するでしょう。
でも、漁業権って本当にお金を払わなくててに入れた既得権益なんですかね?
そうだとすれば、日本の国益をなんで漁師に吸いとられなきゃなんないの?
私は漁師さんが、漁で苦労して魚介類を採られるのは尊い労働だと思いますが、働かないで巨額の補償金を貰えるのは大田区や東大阪の中小企業にはありません。
スキナーさんは、こういうやらずぶったくりの農業・漁業の既得権益を「略奪」と称しています。
皆さんの税金が「略奪」されているというのです。
税金だけじゃないんですけど、異常に高い関税で異常に高い米を食っているのですが、日本じゃそれが普通です。
ロケットを打ち上げようとすると、漁師にお金を払わなくてはなりません。
電気を発電するにも漁師にお金を払わなくてはなりません。
孫正義氏のメガソーラー発電所が休耕田に作られるなら、農地法の改正が必要です。
そこで、危うく農地法の問題点が明らかになりそうになったのです。
ここで、スキナーさんは、喜んだと思います。
農地法やその他の理不尽な規制が緩和されると。
でも、それはないのです。
官僚はそんな事実を知らしめませんから。
結局、日本の社会どう転んでもサラリーマンは、農家と漁師にお金を吸いとられる仕組みになっています。
宇宙開発は漁師が皆さんの税金を掴み取る場所です。
電気料金のどれだけが農家と漁師の懐に入る仕組みになっているのでしょうか。
私は不勉強にして知りませんが、スキナーさんは日本人以上に日本をご存知のようです。