50の発明の中でも特に信じられなかった犯罪予知をもっと調べてみたら、ニューヨークタイムズ紙の記事にもっとわかりやすい内容がありました。
米カリフォルニア州サンタクルーズ警察が「犯罪者よりも早く犯罪現場に駆けつける」ことを試みているそうだ(The New York Timesの記事)。
といっても予言や予知能力などではなく、過去の犯罪データに基づいて次の犯罪が起きる可能性の高い地域と時間帯をコンピューターで予測するシステムを使っている。
この分析モデルは余震予測システムをベースに構築されており、新たな犯罪データなどの情報は日々更新される。
犯罪予測システムは予算カットに直面する全米の警察などから注目を集めているが、既に多くの都市で使われているCompStatなどの犯罪分析システムよりもサンタクルーズのシステムは更新頻度が高く、人間の認識パターンに左右されにくいほか、過去のデータよりも予測データを優先して人員配置を行うなど洗練されたシステムになっているとのこと。
7月から実施されている試験運用では市内を500フィート(約152メートル)四方のエリアに区切り、8年分の犯罪データを元に最も犯罪が起きる可能性の高い地域トップ10が毎日警官に伝えられる。
警官は通報により呼び出されない限り、その地域を重点的にパトロールする。
勘や経験に基づいて決定していたパトロール地域をコンピューターでの予測に置き換えるものだが、警官たちにはおおむね好評だという。
なるほど、こういうベースがあって数学者、人類学者、犯罪心理学者が協力してプログラムを完成したってことなら一応納得できます。
それと面白いのは、「地震予知システム」じゃなくて「余震予知システム」をベースにしていることです。
余震というのは、本震から本震の何十年とか何百年の期間ではなく数ヶ月から1~2年の影響下に起こるものです。
犯罪というものが、大きな犯罪から続いて同一犯が起こす、あるいは他人が模倣するという性質が地震と共通するものがあるとすれば興味深いです。
それにしてもアメリカという国は犯罪に手を焼いているのですねえ。
記事にでてくるCompStatというシステムも犯罪の現象を目指して成功を収めたニューヨークのジュリアーニ元市長の時代に始まったということです。
ジュリアーニ元市長といえば、「割れ窓理論」で有名です。
ビルの割れ窓を放置しておくと、そこは管理が行き届いていないということが明らかになり、小さい犯罪を呼びさらに大きな犯罪が起こります。
だから、些細な犯罪から厳しく取り締まることでジュリアーニ市長在任中に犯罪を激減させました。
日本でも割れ窓を駐車違反に置き換えて取り締まりを強化して犯罪を減らした例が知られています。