以前、東レが韓国に炭素繊維工場を建設する話題を書きました。
韓国は消費地に近いこと、韓国が多くの国とFTAを結んでいるため関税がかからず輸出に有利なことが理由です。
それと電力料金が安いことも魅力です。


炭素繊維の製法は2種類ありますが、東レなど大手はアクリル繊維を加熱して100%炭化させる方法です。
この技術は製品を分解して真似できないので、中国も当分追いつけません。
素材産業には日本でしか作れない製品が多く、日本のお家芸ともオンリーワン企業の力の源泉とも言われます。
しかしながら困ったことに電力を多く使う産業でもあります。


日本の電気料金は国際的に高く、1kwhあたり15.8円で、アメリカの6.8円、韓国の5.8円と比べると大幅に高いです。
原発のないイタリアは27円と極端に高いですが、概ね日本より高い国は少ないです。
それでも日本の電力料金はここ20年以上下げてきてはいました。
それは、一貫して高くてしかも相場の変動が激しい石油から原子力や天然ガス、石炭の比率を増やしてきたからです。


点検停止中の原発再稼動を認めない状況が続けば、火力発電に頼らざるを得ず燃料の高騰により来年の電力料金は18%上昇するということです。
料金だけでなく、節電まで求められると素材産業の日本ばなれを促すことになりそうです。
それもこれも、日本のエネルギー政策をどうするのかという考えもなしに、国民ウケを狙って浜岡原発を止めさせたからです。
市民運動だったらそれでもいいかもしれません。
確かに、支持率がちょっとくらいは上がったかもしれませんが、日本の経済や産業に取り返しのつかない影響を及ぼしかねません。


リストラを徹底的にやったうえでじゃなければ電力料金の値上げは認めないと政府は言っています。
そういう国民の耳にやさしいマニフェストばかりで政権交替したものの、実際にできないことはさんざん経験しています。
ずっと野党で責任ある立場で政治をすることがなかったために、自分で責任をとることができないのです。
野党癖で他人を追及して他人のせいにすることしかしない政治家に、国民は政権を預けてしまったのです。
まったくなんでこんな重要な局面で、民主党政権で、しかも最悪の歩く人災菅直人が首相をやっているのでしょう。
最悪のタイミングです。
これはまるで「宰相不幸社会」ではありませんか。