今週のTIME誌は、ガン医療が目玉特集らしいですが、別の特集をご紹介します。
『中国での安い労働力の終焉化』
賃金の上昇は製造業の仕事をカンボジア、ベトナム、インドそしてアメリカへと移している(サブタイトル)
賃金が高くなったといっても、まだ平均じゃアメリカの7分の1にすぎません。
しかし、2000から2009年まで10年間賃金の平均上昇率は12%もあり、
2015年にはアメリカの賃金の69%にまで上昇すると見込まれています。
農村部から広州の電機工場に出稼ぎしていた24歳の女性は、金融危機で輸出先の需要が減り失業(レイオフ)していました。
今、地元の電線工場で仕事をみつけました。
広州よりも賃金は低いが生活費が安くて暮らし向きは楽だと言います。
しかも、地元に近いのがなによりと喜んでいます。
カンボジア、ラオス、インド、ベトナムのような国は、中国を離れた低賃金製造業を拾っているし、オモチャ工場もアメリカやメキシコに戻ってきています。
ただし、労働者が金を持つことによって購買力が高まります。
南中国のアメリカ商工会議所のメンバーの75%が、中国を工場だけでなくマーケットと見ており、中国向け商品を作っているということです。
さて、以上が記事の要約です。
面白いと思ったのは、オモチャ工場が「アメリカとメキシコに戻る」ということです。
かつてアメリカにとって安い人件費=メキシコだったのです。
どういうことかといえば、日本と同様にアメリカ&メキシコの空洞化分GDPが中国に移転していたのが戻ってきつつあります。
じつは日本ヒューレットパッカードが日本向けパソコンの工場を日本に戻しています。
もちろん人件費は上がりますが、「MADE IN TOKYO」と書けるブランド力、輸送費の削減、納期の短縮というメリットがあります。法人向けが多い日本ヒューレットパッカードには納期というポイントは重要です。
安い人件費が重要な工場は、中国を離れカンボジアやラオスという日本人でもどこにあるのかわからない国に移転しています。
中国のGDPが海外に逃げ出しつつある。
言い方を変えれば中国の空洞化が始まっているということです。
今後、中国が引きつける工場は輸出製品のためのものではないでしょう。
中国をマーケットとするビジネスにトレンドが変わります。
インフレと賃金の急上昇+人民元切り上げで、輸出は激減します。
しかし、人民元高で購買力は激増するわけで、輸入が増えます。
なんか急速に日本病になりそうに思います。