先日書いたアノマノカリスに近いエディアカラ生物群(先カンブリア紀末の進化の大爆発のときに発生した生物)に属するオパビニアという奇妙な生物がいました。
ひらのXX的日常-anomanokaris カンブリア紀の猛獣アノマノカリス

その化石が数多く発見されたのが、カナディアンロッキーのバージェスのスレート採掘場でした。

ここの岩は粘土質の砂が堆積してできた、まるで本のページ(頁)のように薄く割れる性質があります。

これをバージェス頁岩(けつがん)といいます。

その中から従来の常識を覆す多くの不思議な化石が出てきました。

恐竜みたいな大きな骨のある動物は化石になりやすいのですが、軟組織でできた生物は腐敗して化石になりません。

バージェスは、酸素が欠乏した特殊な環境にあった為に多くの化石ができたようです。

それについて質問サイトに投稿がありました。


【質問】

昔テレビの番組でバージェス頁岩動物群について、 「 現存するどの生物とも類似性がなく、奇妙な動物が多い 」 と言っていました。その中のオパビニアについても 「 5つ目」 で、 たしか 「 現在のどの生物とも類似性がない 」 と言っていたような...
ひらのXX的日常-opabinia

これとは別に、現在の多くの昆虫が5つ目だということを最近知りました。よく言われる複眼の中間あたりの額のところにも、3つ目があります。ネットによると、この3つの目は明るさが分かるだけの単眼のようです。

そこではたと気が付きました。 どっちも同じ 「5つ目」 ではないですか!
しかも全身が節になっているのも同じ!
片方だけなら単なる偶然と言えるでしょうが、共通の特徴が2つ揃えば偶然とは思えません。しかもその1つが 「5つ目」 なんて奇妙この上ない特徴で、これはもう同じものに思えてなりません。

もちろん私はズブの素人で、単に上記の見掛けの特徴2つだけを捉えてこう言っているのですが、実際はどうなのでしょうか? 学術的にはどこまで分かっているのでしょうか? この両者の 「5つ目」 は同じ遺伝子によるものなのでしょうか?
最近本も1冊買って読みましたが、またネットでも調べてみましたが、昆虫の5つ目との関連について触れられている記事は見つけられませんでした。

昆虫との関連について何かご存知の方、よろしくお願いします。



以下が私の回答です。

【回答】

オパビニアは、環形動物(ミミズやゴカイの仲間)から節足動物(三葉虫、エビやカニなどの甲殻類、クモやサソリなどの鋏脚類、昆虫などの単肢類)に進化する間に属する生物だったと考えられています。
スティーブン・ジェイ・グールドの「ワンダフルライフ」をご覧ください。
たしか文庫本もあります。ハヤカワ文庫です。


節足動物の原型とも言えるのが絶滅した三葉虫で、一つの体節から歩行肢と鰓肢が一対づつ出ていました。
甲殻類では十脚類が5対の歩行肢と鰓肢をそれぞれ分けて残しました。エビやカニは脚の他に腹に鰓があります。


昆虫は陸上生活に特化して歩行肢3対と鰓肢2対を残しました。
ただし、鰓肢は呼吸ではなく、翔ぶための翅になりました。
昆虫は呼吸のため、鰓ではなく気管という呼吸器を独自に得ました。
ちなみにクモの場合は、鰓を空気呼吸に適応させた書肺という器官で呼吸し、昆虫とは全然違います。


【回答の解説】

私たちがご馳走と思って食っているエビやカニは、絶滅した三葉虫の末裔です。

そういう意味では、エビの佃煮とイナゴの佃煮は従兄弟どうしのような関係で美味です。


できれば、皆さんにスティーブン・ジェイ・グールドの本を読んでいただきたいと思います。

う~ん、本を読んでいただきたい事情をいずれご説明します。