フランスの歴史学者が、日本は中国を牽制するためロシアに接近するとともに核武装すべきだ、と述べています。
核武装は他国の攻撃から国土を守る、平和のための道具だと言っています。
フランスはドイツに対抗するため、背後のロシアと結んだ歴史があり、まことにフランス人らしい考え方です。
ただし、この人は歴史学者であって政治家ではありません。


政治的には、フランスは日本の核武装に反対するだろうし、フランスで行っている核燃料再処理を拒否されるかもしれない。と説くのは石場茂元防衛大臣です。
NPTを脱退し国際的な経済制裁を受け、核燃料が輸入できなくなると日本の発電量の3分の1を占める原子力発電ができなくなり、日本の経済は破綻します。
それでいいのですか?という主張です。
こういう主張をするのは石場さんの他にも大勢いらっしゃいます。


一方で、核武装論者もこれまた大勢さんいらっしゃいます。
ほとんどが中国脅威論とセットになっていますが、北朝鮮に対し核抑止は意味がありません。
核によって失うものがある国にしか抑止は利かないからです。北朝鮮にはすでに失うものがありません。
日本で核武装論を唱える政治家は少ないですが、石原都知事、橋下大阪府知事などがいます。
その多くは田母神さんのようなアメリカと核を共同管理する核シェアリング論です。
このメリットはNPTを脱退する必要がないことがあります。
ところが、日本では核武装について議論することさえ許されない状況にあります。


このフランス人だけでなく、アメリカにも日本の核武装を容認すべきだという意見もあります。
日本では議論さえ許されないのに、ほとんどのアメリカ人は日本が将来核武装するだろうと信じています。
経済力と科学技術力はあるのですから、あとは意思だけです。
実際、意思さえあればインドやパキスタンのように核武装は止められません。
アメリカの力が相対的に弱まれば、中国を牽制するためアメリカの方から日本に核武装するような圧力がかかることも考えられない話ではありません。


核に関しての考え方が面白いのはドイツです。
ドイツはNATOに加盟しており、イタリアとともに敗戦国ですがアメリカの核兵器を共同管理して核のボタンを押せるのです。
ところが、原子力発電には反対なのです。
ドイツ国民は原子力発電の安全性に疑問をもっているのです。
だから今後も原子力発電に頼ることはないでしょう。
核武装しているけど、原子力の平和利用はしない国です。


その隣国のフランスは原子力が大好きです。
発電量のうち原子力による割合が世界一多い国です。
世界の原子力発電所建設にかかわるシェアは、フランス企業と日本企業で大半を占めます。
フランスはもちろん核保有国ですし、世界で一番核が好きな国のようです。
フランスのクルマが電気自動車になれば二酸化炭素の排出は大幅に減ります。
(ところが石炭発電中心の中国では発電時にかえって二酸化炭素の排出を増やしていまいます。)


しかし、原子力も意外なことですが将来性がありません。
今後100年で終わりそうです。
ウランの埋蔵量は石炭ほどもたないのです。
核融合の燃料である重水素、三重水素は無尽蔵と言われますが、核融合発電が果たして技術的に可能なのか目処がたっていません。
磁気でプラズマを閉じこめるということができていません。
アメリカでは、燃料ペレットをレーザーで圧縮してミニ水爆を連続的に爆発させる実験がされています。
これは燃料ペレットを完全な球体にする精密技術が要求され、6粒のペレットを作るのに600万ドルかかっています。1粒100万ドル=8000万円!
1秒に20箇爆発させるとして、毎秒16億円の燃料代!1時間5兆7600億円!!!ナンセンスです。


したがって、原子力発電は再生可能エネルギーで全エネルギーがまかなえるまでの繋ぎにしかならないかもしれません。
しかし、二酸化炭素の排出を抑えつつ大出力を効率的に生み出せる原子力発電は当面もっとも有利な方法です。
東京電力はメーカーと組んでベトナムの原子力発電インフラを受注しました。
今回は国の外交努力も加わり、オールジャパンで受注に成功しました。
ついでトルコでも受注するかもしれません。
10年間で1兆円の受注をめざします。
これって民主党政権になって初めてまともな外交努力をしたように思うのは私だけでしょうか。
日本企業の稼ぎにもなりますし、政治の核アレルギーは鎮めてほしいものです。
こういうためにも、福島さんは連立に復帰させないでもらいたいですね。