レンズ性能の理論的限界

昨日の続きです。


レンズの解像度は理論値があって、それを超える画素数のセンサーは意味がないのです。
そういう意味で、画素数競争も終わりに近づいてきたというのが、昨日のブログでした。


それをもうちょっと詳しくご説明します。
以下の式がレンズの解像度の理論値です。
※1mmあたり解像本数=1000×(1000/1.22λF)
  λ=光の波長550nm F=レンズのf値
550nm(ナノメートル)は色でいうと緑色です。
通常赤760nmや青400nmでは計算しないんですねえ。
収差のない理想レンズは、緑色の波長の光でF1.0のとき1mmで1490本の線を解像します。
同じくF5.6で266本。
収差が全くない理想のレンズは絞りを開いたほうが解像するんです。
現実の一眼レフのレンズは色んな収差があるためF5.6くらいに絞ったときに最も解像度が高くなります。
266本/mmというのは理論値で、実際にテストするとそんなにありません。


普通、レンズの開放値から1段から2段絞った方がシャープになるといわれます。
私も85mmF1.4を使うとき1段は必ず絞ります。
絞り値はF1.4、F2、F3.5、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22、F32のように表されます。
なんかランダムに並んでいるようですが、1.4倍刻みなんです。
「F値」というのですが、口径比:F=焦点距離÷有効口径を意味しています。
すなわち、レンズを通る光の量は口径の2乗に比例するので、F値が2の平方根である約1.4倍毎に刻まれているのです。


お高いレンズだと単焦点でF1.4が多いです。
ズームレンズでは高級レンズでもF2.8がせいぜい、普及品だとF3.5-5.6などと焦点距離によってF値が変動します。
たとえばオリンパスの一眼レフにキットレンズとして販売されるレンズでは、ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6です。
さきほど、F5.6の理論値が266本/mmと書きましたが、このレンズを某カメラ誌がテストをしていました。
実際に測定してみると、一番解像度が高いのは画面の真ん中ですが、140本/mm程度なのです。
じゃあ、117本/mmのセンサーなら充分ではないかと思われるかもしれません。
でも、真ん中はよくても周辺に行くほど解像度が落ちるので、画面平均で86本/mmしかないのです。
つまり、キットレンズでは限界に来ています。
このレンズはお安いので高級レンズならもしかしたら117本/mmが可能かもしれません。


ところで、ここから話題変更です。

オリンパスは、もうフォーサーズ用レンズの開発をやめると発表しました。
これからは、マイクロフォーサーズ中心でやるそうです。
http://www.43rumors.com/official-olympus-press-conference-news/
原文は英語なので、日本語に訳しておきました。


QuesabesdeはMiguel Garcia氏(オリンパスヨーロッパのマーケティング責任者)と短いやりとりをした。
彼は、フォーサーズ用の光学系(レンズ)をこれ以上開発しないということを認めた。
また、たぶんE-5は期待されるような仕様(スペック)
を持っていないが、すべてを用意することはできない。

最も重要なニュース:
1.オリンパスヨーロッパのマーケティング責任者Miguel Garcia氏は、マイクロフォーサーズに焦点を合わせると言っている。
2.E-5はオリンパス最後のフォーサーズ機ではない。
3.2011年にプロ用のマイクロフォーサーズ機が登場する。
4.ローエンドマイクロフォーサーズ機も2011年にアップデートされる。
5.単焦点レンズは2011年に登場する。2011年には興味深いフォーサーズレンズの発表があることを保証する、それは一般消費者市場だけでなくすべてのレベルを惹きつけるだろう。
6.Geotagging(位置情報の付加)のような新しい特徴を持つ。


う~~~ん即時の一眼レフから撤退じゃないけど、もう新しいレンズを開発しないということは、やっぱり止めるということですよね。