準天頂衛星初号機「みちびき」が打ち上げに成功しました。
われわれがカーナビで使っているアメリカのGPS衛星は、世界中を27個の衛星でカバーしています。
そのうち4つの衛星が真上にあれば、測位ができます。
ところがビルの谷間や地形によっては電波が届きません。
そこで、日本とオーストラリアにも使える衛星を打ち上げることになりました。
いつも地上から見て同じ位置に見える「静止衛星」は、赤道上を公転周期24時間で廻る衛星です。
これだと、日本から見ていつも同じところに衛星がいるのですが、南に30度傾いているわけで、日本は赤道にないから真上にはいません。
そこで考えたのが、軌道を斜めにすることです。
そうすると、地球から見て8の字を描くように見えます。
そして、さらに円軌道ではなく楕円軌道にすると、日本上空で小さなループを描く8の字になります。
この「ちっこい8の字の上半分」に衛星がいるのは7~9時間です。
8の字全体から見て、この部分は小さいのですが、このループの時に衛星は楕円軌道のうち遠いところを廻っています。
すなわち「ケプラーの第二法則」が示すように、ここはゆっくり飛んでいるので狭い範囲を長時間カバーできます。
とは言っても、結局のところ日本上空を24時間カバーするには、少なくともあと2機が必要です。
それにしても、これによって10センチメートル単位で農業の種まきや刈り取りがロボットでできる可能性があります。