トヨタが次世代の電池を東大と技術開発機構(NEDO)と開発します。
5年後を目処に実用化技術を開発するということです。
現在のリチウムイオン電池は、1kgあたり100W時ですが、
ガソリン車並みの航続性能を得るには、500W時は必要とされています。
ところが、リチウムイオン電池の理論的限界は250W時程度とされています。
つまり、次世代の電池を開発せざるを得ないわけです。
その候補にあがっているのは3種類あります。(NEDOのHPから引用+私が若干補足してます)
●「全固体型リチウム硫黄電池」
正極に硫化物材料、負極にリチウム金属等を用いることにより、高いエネルギー密度が期待できる。さらに、電解質に従来の有機電解液に代えて固体材料を用いた場合、液漏れによる短絡(ショート)を防ぐことができるため、高い安全性が期待できます。すなわち自動車では衝突追突事故などでの発火の危険性が少ないということで有利です。
●「金属-空気電池」
現在はボタン電池に使われていることが多く、充電できないタイプが普及していますが、自動車用には充電できるタイプを使います。負極に亜鉛、アルミニウム、リチウムなどの金属材料、正極に空気中の酸素を利用するための触媒材料を使用。正極部分に当たる材料の容積が小さくなるため、軽量化・コンパクト化ができます。
●「多価カチオン電池」
正極に酸化物材料等、負極にマグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属を用います。1つのイオンが動くことで2つの電子(多価)が移動し、高エネルギー密度化が図れます。カチオンとは正イオンという意味です。
これらの電池が自動車用に実用化されると、1回の充電で1000kmくらい走れるようになります。
ただ次世代も、こうしてみるとリチウム頼りは続くかもしれませんね。
リチウムは、資源が南米のチリやボリビアの塩湖に偏在しています。
最近、中国奥地の塩湖でも開発されていますが、チリの資源会社が価格を切り下げるという競争者潰しの戦略にでました。
中国のリチウムを叩く戦略です。
いずれにしても、中国産のリチウムは人民元の切り上げや労働者の賃金急上昇で輸出に回ることはなくなるでしょう。
それで南米のリチウムが安泰かというと、そうでもありません。
日本の商社が、北アメリカの地下から噴出す熱水からリチウムを取り出す事業に投資しています。
塩湖からリチウムを得るためには、自然乾燥させてから加工するわけで時間がかかります。
なんと1年半!
ところが北米の熱水からリチウムを取り出すまでには・・・
なんと1日半!
相当のコストダウンができるということです。
これで全部まかなえるかわかりませんし、カチオン電池が主流になればリチウムは不要です。
空気電池でも、リチウムを必ずしも使う必要はなく従来どおり亜鉛を使うのもいいでしょう。
でも今後10年くらい、リチウムは必要な資源なのです。