【報道記事】米南西部ニューメキシコ州の約2億1500万年前(三畳紀後期)の地層から、初期の恐竜のほぼ完全な化石が見つかり、米自然史博物館などの研究チームが 新属新種に分類した。胴体は大型犬以上の大きさで、肉食だったとみられ、恐竜がどのように進化し、勢力を拡大したかを解明する手掛かりになるという。論文 は11日付の米科学誌サイエンスに掲載された。
この恐竜は、太陽神を意味する先住民の言葉などから、「タワ・ホーラエ」と名付けられた。体長は長い尾を含め2~4メートル。小さな子や成体に近い若い 個体の化石が見つかり、現在の鳥類につながる獣脚類に分類された。首の骨の側面にはへこみがあり、現在の鳥類が肺の近くに備える呼吸ポンプ「気嚢(きのう)」に似た器官があった可能性がある。
恐竜の最古の化石は、南米の約2億3000万年前の地層から見つかっており、タワの化石は北米で最古級。当時、南米と北米はともに超大陸パンゲアの一部で、地続きだった。初期の恐竜は南米地域で出現し、北米地域に進出したと考えられるという。
国立科学博物館の真鍋真研究主幹の話 初期の恐竜は近縁の爬虫(はちゅう)類に比べ、顕著な違いが少なく、進化と繁栄の理由には謎が多い。環境の違いなどが明らかになり、良い標本が多数見つかることで解明されていくだろう。 【記事ここまで】
ここからブログ【記事の解説】
恐竜は三畳紀に出現し、ジュラ紀に多いに多様化し、白亜紀にもっとも繁栄し、昨日の記事のとおり6500万年前に絶滅するまで、1億5000万年以上もの間陸上の王者でした。
現在より酸素の薄い時代に陸上の動物が活発な活動をするために、爬虫類から進化した呼吸のシステムが2種類ありました。1つが恐竜(と鳥類)が獲得した気嚢システムです。もう1つが哺乳類の持つ横隔膜です。
性能的に見ると、われわれより彼らの気嚢システムの方が優れています。
渡り鳥がヒマラヤの空を超えて飛べるのも、アパトサウルスのような巨大な首長竜が存在し得たのも気嚢システムがあったからです。
また巨大恐竜が絶滅したから、その生態の占めたポジションを哺乳類が引き継いで、あれほどの大きさになることができるかと言えば無理という答になります。
気嚢システムは骨の中に入り込み骨を軽量化するのにも役立っています。
さらに副次的効果かもしれませんが、コミュニケーションにも役だっていたかもしれません。
現生鳥類は気嚢を共鳴器にして、鳴き声を増幅しています。恐竜の中にも、明らかに共鳴器として使っていたのではないかと思われる化石が見つかっています。
初期恐竜の気嚢システムは、他の爬虫類から恐竜という新たな種へ道を別ったきっかけがここにあったのだろうというのが、今回の初期恐竜発見に意義なのです。
さて、この初期の恐竜からはるかに運動能力や知能に優れた子孫であるヴェロキラプトルと、現代の狼が戦ったらどうなるか想像するだに恐ろしいです。
共に集団で狩りをする知能の高いハンターです。
(映画のトカゲ型ヴェロキラプトル)
もし同じ時代に存在したとして、狼は寒冷地に適応した猫科の動物であるので、ヴェロキラプトルと同じ環境にいることはないかもしれません。
でも、ヴェロキラプトルは羽毛恐竜だったらしいので、寒冷地にも住めるかもしれません。
(最近の学説による羽毛をまとったヴェロキラプトル)
映画「ジュラシック・パーク」に登場する姿とはずいぶん違った見た目であったと思われます。
カンガルー並みの跳躍力を持ちその足先には凶悪なナイフを備え、信じられないほどの持久力とチンパンジー並みの知能を持った猛獣がヴェロキラプトルです。
肉食獣同士が戦うことは普通ありませんが、餌が競合したとき狼はヴェロキラプトルと争うでしょうが、対抗できる能力はありません。
ヴェロキラプトルの食い残しをあさるスカベンジャーに落ちぶれるか、ヴェロキラプトルの餌になるしかないでしょう。
恐竜よりわれわれ哺乳類の方が優れているという証拠はありません。
私はむしろ逆だと考えています。
繁栄して大型化した恐竜は環境の変化に耐えられず絶滅しましたが、小型であったわれわれの祖先の哺乳類と、小型に特化して自由に空を飛ぶことに成功した恐竜の生き残りの鳥類は生き延びました。
一個の巨大隕石が恐竜と哺乳類の運命を分けましたが、恐竜はそのとき勝ち組だったがゆえに絶滅したのではないか?
6500万年前の隕石がなかったら、今頃地球人とは足の親指にナイフを持った3本指の連中で、彼らはすでに恒星間航行ができるレベルの文明を築いていたかもしれません。
人類が原猿類から大型の尾無し猿に進化する時間が節約できていたはずですから。