GMが破綻して、国が資金を注入するとともに全米自動車労働組合UAWが株式を保有することになりました。
サーブやオペルの売却にも目処が立って、いよいよ再建かと思いきや難しそうです。


結局、消費者が好むクルマを作る力自体がなくなっているからです。
GMらビッグスリーは日本車が売れて困ると政治力に頼って日本に圧力をかけました。
排ガス規制でも開発を怠り、魅力的なクルマ作りではなく販売促進費でクルマを売ろうとしました。
その結果、利益を損ねることになります。
一方、日本は現地生産化を進めるとともに低燃費で故障しないクルマで人気がでます。
しかし、またシェアを伸ばして叩かれるのが嫌なのであまりシェアが増えないように値上げします。
それでもじわじわとシェアは増えていきます。
そのせいで利益率が上がります。
もう日本メーカーにとっては理想的な状況でした。


アメリカメーカーは利益を減らし、日本メーカーは利益を増やす構造になってしまったのです。
しかも、製造コストはトヨタがどんどん削っていくのに、ビッグスリーは退職者の保険にコストがかかっています、いわゆるレガシーコスト。
GMの製造コストはトヨタの1.5倍という見積りがあります。

それほど強いと言われたトヨタでさえ赤字になるこの不況の中で、GMが立ち直れるとは到底思えません。
UAWは高い賃金と退職後も手厚い福祉を約束された最も豊かな労働者の組合です。
それは、また豊かな消費者でもあってアメリカの消費社会を支え、自動車産業自身も支えてきました。
ところが、その高コスト体質が問題となっても解決を拒み、GMらビッグスリーを破綻に追い込む元凶になってしまいました。
GMの株主となった現役の労働者たちも、自分たちの稼ぎが退職者のために使われることを懸念しています。


結局、去年から私が書いていたようにGMはUAWと心中するしかないのかも知れません