このビルは市ヶ谷あたりを走るJR中央線からよく見えるんですが、地図を見て「ボアソナードタワー」というのを知りました。
見てのとおり法政大学の校舎なんです。
ひらのXX的日常-boisonard
それにしても、なんでこんな名前を付けたんでしょうね。


ボアソナードといえば、明治政府がフランスから招いた法学者の名前です。
当時のいわゆる「お雇い外国人」です。
日本の近代化を法制度から進めるための旧民法を作った人です。


今もそうですが、英米法とローマ法というのがありまして、英米法のことを「判例法」と言ったり、ローマ法のことを「成文法」と言ったりもします。
ローマ法は、法律の条文を書物にまとめた「法典」があるんです。
ギリシャの文化をほとんど受け売りの形で引き継いだローマ帝国です。
ただ、大きく違うのはギリシャが都市国家であったのに対し、ローマは大帝国であったということです。
広い帝国の隅々まで統治するためオリジナルの法典を整備する必要があったのです。
ローマ人が発展させた法制度はヨーロッパ大陸に広まり、フランスもドイツのローマ法の体系に入ります。


そのフランスから来たボアソナードは、日本の学者と協議しながら旧民法を作りました。
民法というのは、個人間の権利関係を定める財産法と呼ばれる部分と、夫婦・親子・相続問題を扱う身分法に分かれます。
財産法はいいんですけど、当時の封建的な身分関係を追認させるつもりの政府は身分法に関しボアソナードには任せませんでした。
ところが日本の学者がボアソナードに助言を求めたために、政府にとって旧民法は面白くないものだったようです。


まあ、そんなわけで民法は作り直されたわけですが、ボアソナードの功績の大きさは揺るぐことはありませんでした。


それはともかく、なんでボアソナードタワーなんだろう?