連休前の新聞で、格下げ社数が格上げ社数を5年ぶりに上回ったという記事がありました。
格付投資情報センター(R&I)の発表です。


これに対し、その朝TBSのコメンテイター(たぶん元新聞記者)がこんなことを言ってました。
「なにが格付けだ。格付け会社自体の格付けをせよ。
彼らがAAA(スリーエー)と評価していたものが、あっという間にA(エー)になる。
そんなバカなことがあるか。格付け機関こそ格付けをされるべきだ。」
惜しいですねえ。アメリカの大リーグで2軍にあたる3Aにはお詳しいのでしょうが・・・
AAAはトリプルエーと読むんです。Aはシングルエーと読みます。
経済オンチがコメントしているというのが明らかになって恥ずかしいですね。


ちなみにAだって立派な格付けです。その下のBBB(トリプルB)までは投資適格ですから。
あ、それも知らなかったんでしょうか?無知なコメンテイターですね。
でも、そいつが無知だと知らない人が番組を見るということは、広く誤解を広げることになります。


確かに証券化商品のリスクを測るのは非常に難しいと思います。
なぜなら、金融工学が発展しすぎて原資産の評価と証券化商品の評価が必ずしも一致しなくなっているからです。
どういうことかというと、サブプライムローンというのは低所得者向けの金利の高い住宅ローンです。
その貸付債権(貸したお金を返してもらえる権利)をまとめて証券化して売却します。
つまり元の貸し手は、証券化商品を買った人から貸付金を回収して回収リスクがなくなります。
貸付債権を買った人(または会社)は、その権利のうち確実に返済されるであろう部分を高く(利回りが低い)売り、
回収の危険性のあるものを安く(利回りが高い)売ります。
そうやってクラス分けされた証券化商品をさらにまとめて・・・・とやっていくともうリスクがわかりません。


それに比べると会社の格付けは比較的わかりやすいです。
一企業のことだけ見ていればいいのですから。
そういう意味で、サブプライム証券化商品の格付けと同レベルで論じようとするコメンテイター氏はますます経済オンチなのがわかります。


しかし、年齢のいった男がしたり顔でまくし立てれば知らない人は本当のことだと誤解しそうです。
新聞記者でも日本経済新聞以外の記者は、基本的に経済オンチだと思っていた方がいいようです。