今年のノーベル物理学賞を日本人3人が受賞しました。
南部陽一郎氏が今頃受賞するのは奇異な感じもしますが、とにかくめでたいことです。


それにしても、受賞した研究成果について一般の人が理解するのは極めて困難なのかもしれません。
日経新聞を読んでも、「あ、これ書いているやつわかってない。」と、記者が理解していないのがよくわかります。

むしろ経済オンチの朝日新聞の方が、この種の記事はちゃんと書けるみたいです。
こまかいことを抜きにして、

大きくいえば「われわれはなぜ存在しているのか?」に対する一つの回答を出したということだと思います。


E=mc2 ちょっと見にくいですが、アインシュタインの有名な公式です。
エネルギーは質量×光速の2乗に等しい。
エネルギーと物質は相互に変換できるわけで、宇宙では常に物質は生まれては対消滅(ついしょうめつ)しています。


物質には、われわれの世界を構成するものと、電気的に反対の性質を持つ反物質があります。対(ペア)になっているんです。
この2種類の物質は触れるとエネルギーにもどるんですね。
加速器を使って反物質を作ることはできますが、周りにある物質に触れた途端に対消滅してエネルギーになってしまいます。


宇宙ができたときも、大量の物質と反物質があったと考えられています。
同じ量の物質と反物質があったとすると、すべての物質と反物質は対消滅して現在のわれわれは存在できないことになります。
しかし、現にわれわれは存在しています。
それはなぜか?


物質と反物質が全く対称には存在せず、われわれの世界を構成する物質の方が多かった「対称性の破れ」が存在したと考えられます。

あるいは、ほとんど同じ量が存在していたのにあるきっかけで、なだれのように物質の世界になっていった。
それを数学的に解明した南部とその理論を素粒子論的に裏付けた小林・益川が受賞したということです。