今時サンゴが植物だと思っている人はいないと思いますが、一応動物だと念をおしておきます。
イソギンチャクに近い動物で、カルシウムの骨格を外に持って群生している様はまるで植物のようです。
今日の新聞に白化した造礁サンゴの写真がありました。
大手商社のサンゴ礁を守る運動の広告です。
造礁サンゴとはサンゴ礁をつくるサンゴで、深い海に住む宝飾品に使われるサンゴとは別の種類です。
造礁サンゴは褐虫藻という藻の一種と共生関係にあります。
この褐虫藻が自分で必要とする栄養分の何倍もの有機物を生産し、家主のサンゴに支払います。
その有り余る栄養分のおかげで、サンゴは生活するとともにサンゴの出す粘液などを栄養にして他の生物や魚類が集まり、サンゴは魚の寝ぐらまで提供します。こうして、サンゴ礁は豊かな生物相を育んでいます。
近年、海水温の上昇でサンゴが褐虫藻を放出してしまい、白くなる現象が起きています。
サンゴは自分でもイソギンチャクのように餌をとることができますが、ふだんエネルギーの大半を褐虫藻に頼っているのでやがて死んでしまいます。
サンゴは水温の上昇だけでなく、大量の土砂が川から海に流れ込んだりしてもストレスを受け白化します。
ストレスが去ってまた褐虫藻を取り込んで生存できることもあるようですが、普通死にます。
サンゴは生物に栄養を供給するだけではありません。
海水に溶けた二酸化炭素を吸収して固定しているのです。
ただでさえ海水温の上昇により海の二酸化炭素吸収力が落ちているのに、それを加速させかねません。
そこで、いろいろな方法でサンゴを守ろうとしています。
高い温度に強い種類の褐虫藻または高温に強く品種改良を白化したサンゴに与えて復活させる。
まだプランクトン状のサンゴの幼生を人工の定着床で捕らえ、天敵のいない環境で育てたあと岩場に植え替える。
人類は微力ながら、過去の罪滅ぼしに取りかかっているところです。