国立感染症研究所で新しいタイプのインフルエンザワクチンが開発されました。
鼻の粘膜に噴霧するだけで、しかも広い範囲の種類に効くといいます。


従来はウィルスそのものがターゲットだったのですが、今回のはウィルスに感染した細胞をターゲットとする点が新しいです。
レトロウィルスの遺伝子は我々のDNAと違ってRNAです。
我々も遺伝子情報を転写するときにRNAを使うのですが、ウィルスはRNAそのものが遺伝子です。
RNA遺伝子というのは、増殖の際に遺伝子を複製するとき、ミスが多いんです。
DNA型生物の100万倍も速く変異するというのは、それが理由だったのです。


そんなわけで、ウィルスそのものをターゲットにするのは非常に困難だったわけで、今回の発想の転換は素晴らしいアイデアです。
動物実験では有効性が確認されています。
ただ、残念なことに今年のシーズンには間に合わないようです。
2010年を目標に臨床試験に入るということです。
それまでは、タミフルとリレンザで対応することになるでしょう。


じつはタミフルには、すでに耐性株が出てきているようです。
同じ原理に基づくリレンザにも交叉耐性があるかもしれません。
しかしながら、両剤の開発段階から予想されていたことですが、耐性株は感染力が感受性株と比較して弱いといわれています。
当面心配することはないと思いますが、この薬を世界で最もつかっているのが日本です。
耐性株が発現するのも日本だということと、ほぼ同義と思ってください。


株というのは、同じ種でありながら、特定の遺伝的特徴を持ったグループ