生物の進化論はまだまだ謎がたくさんあります。
ただ、だんだん色々な事実が明らかになってきました。
まず、カンブリア期の頃には、現在の動物の種につながるすべての種がそろっていました。
カナディアンロッキーにあるステファン山のバージェス頁岩(けつがん)から出てきた化石には、現在の生物種すべての原型があったのです。
この生命の急激な多様化は「カンブリア爆発」と呼ばれています。
堅い殻や骨格を持たないこの頃の生物は化石になり難いものです。
なんらかの原因で、この地域の生物群が酸素の少ない泥に埋まった結果、化石として残ったようです。
長い時間強い圧力に晒されたため、泥に挟まれた化石はペシャンコになり、岩は本のページのように薄くはがれるようになりました。
そのページの間には悪夢のような姿をした生物群が閉じ込められていました。
ほとんど同じ化石が中国でも発見されています。
現在の地球では、環境に適応した生物が地域的に棲み分けしているので、こんな離れた地域で同じような生物が見つかることはありません。
あるとしても人類ぐらいのものです。
当時まだ誕生したばかりの多細胞生物にとって、未知の地にすでに競合する生物は存在しません。
それゆえ、世界中同じような生物相であったと考えられています。
現在ではほとんど知られていない有爪動物(ミミズなどの環形動物と昆虫などの節足動物の中間)が栄えていた時代で、アノマロカリス科が当時の生物界の王者だったようです。アノマロカリスとは、節足動物のようなエサを捕食するための触手がエビのような形であったため「奇妙なエビ」という意味で名づけられました。しかし、甲殻類ではなく有爪動物ないし現存の動物に類縁のない節足動物と考えられています。
この頃の有名な節足動物「三葉虫」も絶滅しており、三葉虫に近い「マルレラ」という動物も絶滅しています。
その他、現在の生物と類縁関係のない生物が数多く発見されています。
すなわち、カンブリア爆発の後に大量絶滅が起こったのです。