進化は実に神秘的なものに見えます。
キリスト教の教義が進化論を否定するのも不思議はありません。
ダーウィンが自説の不備を認めたのは事実ですが、それは進化の事実を誤りと認めたのではありません。
街で伝道していた布教者はそこを誤っていました。
しかし、謎の多い進化ですがいくつかの法則が知られています。
一つは「収斂進化」があります。
海に暮らす大型の脊椎動物は、種が異なっても同じような形に進化します。
魚類のサメ、爬虫類のイクチオサウルス、哺乳類のイルカ。
これらの生物の祖先は全然違う形をしていたものと考えられます。
しかし、進化した結果は非常に似ています。
アーサー・C・クラークはその小説中で、木星の衛星エウロパで「サメのような形をした生物」を発見する場面を描いています。
クラークは地球外生物でも、この法則に普遍性があると考えているのでしょう。
二つ目は「極地の法則」同じ種類の哺乳類動物でも極地地方に住んでいるものは体が大きくなる。
たとえば、熊の仲間で熱帯に住んでいるマレー熊と比べるとグリズリーや白熊は何倍も体が大きいのです。
これは体温維持と体積と表面積の物理的・数学的な関係が生物の進化に与えた影響でしょう。
三つ目は「島の法則」これは二つ目と逆に、島に住む生物が小さくなるという法則。
たとえばマダガスカルに住む象は大陸に住む象より小さくなります。
生物は条件がよいと大型化しやすいのですが、あまり大きくなると体に負担がかかります。
大陸の象は体が大きいことで天敵に対して脅威を与えています。
しかし、哺乳類の標準的な大きさはネコくらいだと言われます。
われわれ人間も動物としては大きい部類で腰を痛めたり、巨人症の人は膝を壊しやすくなります。
象も天敵がいなければ無理に大きな体になる必要がなくなります。