モーターショーで今更ながら思ったのは、単位系がSI単位系に置き換わったんだなあ、ということ。(System International d'unites フランス語で国際単位系)
もう、KWを馬力換算していないメーカーもありました。
ジャパネットのテレビショッピングで電気掃除機の「仕事率○○W」と商品紹介をやっていますが、自動車も掃除機と比較できるようになったんですねえ。
馬力ってのは、ジェームズ・ワットが蒸気機関の仕事量を表すために考えた単位です。
標準としたのは、粉挽き臼に棒を付けて馬にグルグル回って挽かせる仕事量。
計測した結果550フィート・ポンド/sec=76.04kg・m/secということになりました。
76.04kgの重さを1秒間に1m持ち上げるのが1馬力です。
これが英馬力(hp)ですが、メートル法圏ではまるめて75.0kg・m/secの仏馬力(ps)を使っていました。
現在採用されているSI単位系では1W(ワット)=1J(ジュール)/sec=1Nm/secとなっています。
1N(ニュートン)は1kg・m/sec2となります。
1kg重は地球の標準重力加速度が9.80665m/sec2なので、9.80665N。
よって1ps=0.7355kwということになります。逆算すると100kw=135.96ps。
昔ながらの馬力に慣れた頭にはkw表示×1.36と計算する方がわかりやすいです。
ただし、法律上はSI単位系で取引しなければならないので、馬力(ps)表示は参考に留まります。
SI単位系には、75とか9.80665みたいな係数が入りません。
それに9.90665というのは、地球上の標準重力加速度定数です。
地球の自転による遠心力で赤道上の物体は、同じ質量でも極地方の物体より幾分軽くなります。
だから、従来型の単位系のような係数を排除した新しい単位系が求められたのです。
ところで、ワットが計測したのは、1日だらだらと粉を挽く馬の仕事量ですが、競走馬のスピードと体重(騎手も含めた)からすると最大馬力は3.2psくらいらしいです。
ワットは自分の蒸気機関を高く売るために、実際の馬の力を小さめに表示したかったのですね。
馬の名誉のためには、SI単位系の方がよろしいようです。