会社更生法は超大型倒産にしか使われません。
というのも、会社更生法の手法というのはかなり強引なのです。
まず、既存の株主の会社持分をゼロにします。
手っ取り早くいえば、株を紙くずに変えるということです。
株主にとってはとんでもない法律です。
次に、新しい出資者=スポンサーを探します。
スポンサーは、倒産会社の事業に関連ある企業が会社更生によって出資することがプラスとなるようなところです。
たとえば、吉野屋を支援することで食肉の輸入ルートを確保できる商社のような例です。
倒産企業が採算性ある事業が残っていることが前提ですが、その見込める更生期間中の利益とスポンサーの出資を元に債権者に借金を返します。
予想利益と出資を超える債権(借金)は切り捨てられます。
以上が会社更生法の概要です。
更生期間は最長で20年、べつに10年で計画を立ててもかまいません。
実際の適用事例では95%くらいの借金が棒引きされます。
債権者にとってはとんでもない法律です。
しかし、その企業がなくなると多くの失業者が出るとか、地域の産業基盤が成り立たなくなるような大型倒産に適用されます。
しかも、株式会社にしか適用がありません。
ここで、まとめてみましょう。
会社ことに大企業にとっての利害関係人=ステークホルダーとは、株主・債権者だけではありません。
そこで働く従業員の数が膨大で、これらの方の雇用が失われたら地域社会も成り立たない事態も想定されます。
それゆえに、債権債務という法律や経済論理で割り切れない状況がでてきます。
なんといいますか、これを調整して強者である銀行さんなどのレンダー様(お金の貸し手)は我慢してもらって、
雇用や地域社会を守るという趣旨の非常に強引な法律です。
通常の倒産法制と違い、社会的な意義をもった法制ということができるでしょう。