国立天文台が出している(出版社は丸善)「理科年表」という年鑑があります。
なんと大正14年(1925年)という恐るべきロングセラーです。
なにしろ、出してるところが絶対に倒産しない国立天文台ですからねえ。
1995年にはCD化もされて、そのときの広告のコピーが本日のタイトルです。
じつに面白い表現だと思います。
天文台が出しているのですが、科学の各分野の重要なデータや法則などがギッシリ詰まった本です。
そんなデータ集を1日見ていても飽きません。アボガドロ数っていくつだったけ?
とか、光速の99.99%で進む物体のローレンツ短縮はどう計算するんだったか?
ヘリウム4の液化する温度は何度だっけ?
中生代から恐竜が最も栄えた白亜紀末まで何年くらいのながさだっけ?
とか、物忘れする私には非常にありがたい本です。
もっとも、日頃こんな疑問を持って生活している一般人はあまりいないとは思いますけど・・・・
しかしながら、この本には現代の科学のエッセンスが収められています。
科学に興味のある方は是非一冊お求めになるべきです。
私もときどき買っています。毎年買う人もいるでしょうが、そんなに毎年内容が変わるものでもありません。
しかしながら、科学というのは前にも述べたビッグバンやカオス理論で全く自然や宇宙にたいする見方が変わることもあります。
年表の中でちょくちょく変更されるのは、地球の歴史に関することのようです。
なにしろ地面の下に埋まっている新たな証拠が発見されるたびに変わるんですから。
ただし、今回は冥王星が惑星から格下げされて、太陽系の惑星が9個から8個になったというのが最大の変更点だったそうです。
そりゃそうでしょうねえ、天文台が編纂している年表なんですから。
じゃ、冥王星は惑星じゃなくなって何になったかというと「矮惑星」という新しい分類に属することになりました。
今回は「惑星」と「矮惑星」の2つの定義がなされました。
太陽系の惑星は「太陽の周囲の軌道を公転し」、「自身の重力により球状を形成し」、その重力により周囲の天体を吸収するため「自身の軌道近くにほかの天体(衛星を除く)がない」天体。
「矮惑星」の定義は「太陽の周囲の軌道を公転し」、「自身の重力により球状を形成」するが、「自身の軌道近くにほかの天体が残っており」「衛星ではない」天体。近くに自身より大きい海王星が存在する冥王星は、この分類になりました。
じつは、ホルスト作曲の「惑星」は冥王星が入ってません。冥王星発見前の作品だったのです。
ホルストの「惑星」が今後もクラッシック音楽の作品として残っていくには好都合だったかも知れませんね。