ホルムズ海峡砂景色のネタ本のタイトルが「イスラームの日常世界」であるのはご紹介したとおりです。
イスラームというのは「神の教え」という意味を含んでいるので、わざわざ「教」を付けなくてもイスラム教を意味します。
イスラム教徒のことは「ムスリム」といいます。
ここんとこオイルマネーの台頭が著しく、首長たちの贅沢から国土・産業開発に向かい、さらには投資に向いてきています。
イスラームという言い方はやめて以下なじみのイスラム教と表記します。
イスラム教の教義の中には、利息を取ることを禁ずる。というものがあります。
一夫多妻制といい教祖ムハンマドゥの生涯に影響されたものでしょう。
ムハンマドゥの時代は戦争が多くて、夫を亡くした戦争未亡人が多かったということです。
ムハンマドゥ自身の妻も未亡人でありましたが、裕福な資産家でありました。
そういう時代にあっては、経済的に余裕があり、妻を平等に愛せるなら複数の妻を持つことが許されるというのは社会的要請でもあったのです。
また、自ら商人でもあったムハンマドゥからすれば、借金に苦しむ民衆に高利で金を貸しただけで額に汗することもなく暮らす拝が許せなかったのでしょう。

すなわち、イスラム教では普通の銀行というのは成り立ち難いと考えられます。
しかしながら、9.11テロ以降のアメリカ社会はイスラム教に敵意を表し、イスラム側も反米的になっています。
それこそテロリストの思うツボでありますが、事実なんでそういうことです。
そんなわけで、それまで米英の金融会社や投資顧問に運用を任せていた資金を別の方法で運用したいと考えるようになりました。


利息を取ることが教義に反するというんじゃ銀行業はなりたたないと思えます。
しかし、割引債みたいなのはいいらしいです。
割引債というのは、100万円の額面の債権を95万円で購入し、満期なれば100万円が償還されるもの。
その他、教義に従った事業に投資して儲けから配当を受け取るのも許されるんだそうです。
たとえば、酒造メーカーに投資するのは許されないが、オーストラリアの羊肉加工業者が屠畜の際にお祈りをする施設を建設する事業に投資することは許される。
イスラム教の食肉といえば羊が一般的ですが、その多くはオーストラリア・ニュージーランドから輸入されています。
イスラム教では、教えにしたがった方式でお祈りして屠畜された証明書がないと肉を食っちゃいけません。
オーストラリアでは、分別するのが面倒なので全部お祈りしてるそうです。
われわれもそんな羊の肉を食ってるかも知れません。


話は反れましたが、イスラム圏ではそんな投資先を選別するために人材が要るわけで、2010年までに3万人のイスラム金融の専門家が必要だといいます。
非イスラム圏でもオイルマネー争奪のためにイスラム教の教義に詳しい金融の専門家が必要になるかもしれません、
まあ、投資の目的が明らかな点ではエコファンドに通ずるところがありそうです。
が、しかし、無神論者の仏教としては、なんだかなあ・・・