飛行船には、ツェッペリン号や悲劇のヒンデンブルグ号のような「硬式飛行船」と、グッドイヤーのような「軟式飛行船」があります。
硬式飛行船は外側にフレームを持った構造で推進機をフレームの各所に付けたり比較的自由な設計が可能です。
力学的にも有利な機体設計ができます。
しかし、重くなるので大型飛行船でないと難しいです。
軟式飛行船はラグビーボール型の気球にキャビンと推進機を付けたようなものです。
構造が簡単で安価に作ることができます。
フレームはありません。


さて、第三の飛行船があるのです。
飛行船というのは近年見直されているんです。
空飛ぶ豪華客船ヒンデンブルグ号の悲劇は過去のものです。
軍事転用を恐れたアメリカ政府がドイツへのヘリウム輸出を禁じたため、地上に接岸する際に静電気の火花から水素が引火したんジャマイカ?と言われる爆発炎上事故でした。
飛行船は、浮かんでいるのにエネルギーがほとんど要りません。
風で流されないようにするとか、浮力をやや弱めに設定したときにはエネルギーを消費しますけど。
ヘリコプターなんぞ小さいのに盛大な音はするし、地上近くでは盛大に砂埃を巻き上げるは大変です。


そんなわけで、現代に甦ったツェッペリンNT号は「半硬式飛行船」です。
NTはニューテクノロジー(ドイツ語じゃNeue Technologie)を意味します。
いわば内骨格の飛行船です。「硬式飛行船」が外骨格なら、「軟式飛行船」は軟体動物といった比喩でしょうか。
軟式飛行船がキャビン周りしか推進機を付けられないのに対して、半硬式飛行船は最小限のフレームを内部に備えます。
フレーム=生物なら骨があるおかげで、航空力学的に有利な(キャビンから離れた)位置に推進機を配置できます。
外から見ると骨格は見えませんが、しっかりした構造の飛行船です。


しかし、この秋から東京上空を遊覧飛行するのは半硬式飛行船ではなく軟式飛行船です。
埼玉県の桶川飛行場から出発して、東京都内の名所を空から眺めて一周するツアーだそうです。
料金は覚えていません。興味のある方はご自分でお調べください。
でも、東京-大阪間の航空運賃よりずっと高かったように記憶のカケラが言っています・・・(^^;)