争点はカジノ誘致の是非一点だ | 平野幸夫のブログ

平野幸夫のブログ

ギリシャ語を語源とする「クロニクル」という
言葉があります。年代記、編年史とも訳されま
す。2014年からの独自の編年記として綴りま
す。

今春の大阪府知事・同市長選挙の

ダブル選挙が、が然面白くなって

きた。出馬表明した谷口真由美、

北野妙子両女性候補の勝算は薄い

というのが大方の見方だが、争点

をカジノ誘致の是非を問う一点に

絞れば、大阪維新の牙城に風穴を

空けるかもしれない。一昨年の横

浜市長選では当時の菅義偉首相が

担ぐ自民候補らを、「ハマのドン

」と言われ、保守系の地元実力者

、藤木幸夫氏が「ハマにバクチ場

は許さない」と大学教授を対抗馬

に立てて勝利、菅首相退陣につな

げた。勝因はカジノに反対する横

浜市民の怒りだった。巨額の血税

を投じるカジノと時代遅れの万博

に狂奔する吉村洋文大阪府知事ら

に怒りの鉄槌を下せるか、大阪の

市民もその覚悟が問われる選挙で

ある。

先週、驚くべきニュースが報じら

れた。大阪府警が万博の会場にな

っている此花区の夢洲に、新たに

夢洲署を新設するという組織再編

だった。現在ほとんど無人の埋め

立て地に万博期間に向け約300

人の警察官を配置するというが、
こんな過剰な人員配置は聞いたこ

とがない。1970年の大阪万博

や90年の花の万博は既存の吹田署

や会場警察隊で会場警備を担った

。今回の万博も現在の此花署の出

張所を期間中増員すれば、対応で

きるはずだ。

費用、人員共に過剰とも思える警

察署の新設を強行するのは、万博

に間に合わなかったカジノ建設を

既成事実化事実化させてしまうた

めの維新政治の策略にも見える。

何よりカジノはまだ国の正式認可

が下りていない。それに先んじて

の警察署新設などあってはならな

い。

夢洲のカジノ建設は数々誤算の連

続である。埋め立て費用、交通ル

ートの整備の費用見積もりがずさ

んで、既に約2000億円もの血

税が余分に投じられようとしてい

る。これだけをみても、もっと多

くの大阪の市民がカジノ反対に大

きく意識変化してもおかしくない

はずだ。

しかし、カジノ反対を掲げるダブ

ル選の谷口、北野両候補は「アッ

プデートおおさか」という超党派

の政治団体が担ぐが、勝利するた

めの確たる戦術が見えず、根回し

も感じられない。最も障害になる

のが、吉村知事の対立候補が谷口

氏に一本化できていない点だ。い

ち早く出馬表明をした共産の辰巳

孝太郎元参院議員と調整すべきだ

った。三つ巴になれば、谷口、辰

巳両氏に勝ち目はないのは火を見

るより明らかだ。

国会で森友事件の追及で切れ味を

見せた辰巳氏もこのままでは事実

上、次回国政選挙に向けた党勢維

持の場にするだけになってしまう

。人柄も良く、論理的な対話がで

きるとされる辰巳氏が「万年負け

犬」に甘んじてしまうのは、もっ

たい過ぎる。

国政でも大局の判断ができない共

産は、また大きな失態を重ねてい

る。志位和夫委員長が「党首公選

制」を求めたジャーナリストを除

名した問題で党対応を批判した朝

日新聞の社説に「朝日に指図され

るいわれはない」とかみついたの

だ。そればかりか、田村智子政策

委員長が記者会見で、同じ論調で

党批判をした毎日新聞社説に「党

に対する攻撃と攪乱以外のなにも

のでもない。怒りさえ覚えた」と

述べた。

最高幹部が2人そろって複数のメ

ディアを批判することが、どう見

られるのかという思考に欠ける。

批判を許さぬ党の閉鎖性が改めて

際立ったともいえよう。党リーダ

ーらの独善的な振る舞いが支持者

離れを招いている想像力もないの

だろうか。

大阪のダブル選でタッグを組んだ

の女性候補2人の陣営はこんな時

だからこそ、理を説いて辰巳候補

の出馬見送りを求める時ではない

か。横浜のケースのように「オー

ル大阪」の陣営を再構築する道し

か2人そろっての当選の姿は見え

てこない。


    【2023・2・11】